潰れる(読み)ツブレル

デジタル大辞泉 「潰れる」の意味・読み・例文・類語

つぶ・れる【潰れる】

[動ラ下一][文]つぶ・る[ラ下二]《形容動詞「つぶら」から》
外部からの力を受けて、もとの形が崩れる。「地震建物が―・れる」「肉刺まめが―・れる」
角が丸くなる。すりへる。「やすりの目が―・れる」
本来の働きが失われる。役に立たなくなる。だめになる。「歌いすぎてのどが―・れる」「企画が―・れる」
経営・生活などが成り立ってゆかなくなる。ほろびる。破産する。「会社が―・れる」「店が―・れる」
体面や心の平静さが失われる。「顔が―・れる」「彼の不幸を聞いて胸が―・れる思いだ」
機会や時間などが、他のことのために生かされないでしまう。「客の相手で一日が―・れる」
酒に酔って動けなくなる。「―・れるまで飲む」
写真などで、暗い部分の階調が失われて真っ黒になる。→黒潰れ
[類語](1ついえるひしゃげるひしげる崩れる倒壊する壊れる破れる破損する毀損きそんする損傷する損壊する損ずるこぼれる欠ける傷付く砕ける割れる/(3いかれるポシャる/(4廃業経営破綻破産する倒産する瓦解がかいする倒れるポシャる潰える

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「潰れる」の意味・読み・例文・類語

つぶ・れる【潰】

  1. 〘 自動詞 ラ行下一段活用 〙
    [ 文語形 ]つぶ・る 〘 自動詞 ラ行下二段活用 〙 ( 「つぶら(円)」と同語源 )
  2. 角がとれて丸味を帯びる。まるくなる。角がすりへる。磨滅する。〔観智院本名義抄(1241)〕
    1. [初出の実例]「墨は一年中につぶる」(出典:古文真宝彦龍抄(1490頃))
  3. 力が加わって原形を失う。ひしゃげる。こわれる。
    1. [初出の実例]「うみ柿の落ちけるが〈略〉いただきに落ちて、つぶれてさんざんにちりぬ」(出典:古今著聞集(1254)一二)
  4. (こわれて)役に立たなくなる。使えなくなる。
    1. [初出の実例]「目つぶれ、足折れ給へりとも」(出典:源氏物語(1001‐14頃)玉鬘)
  5. 組織、経営団体、家督、家系、芸能の流派などの維持・経営が成り立たなくなる。滅びる。瓦解(がかい)する。破産する。〔日葡辞書(1603‐04)〕
    1. [初出の実例]「夫から家がつぶれる、末世末代の恥さらし」(出典:松翁道話(1814‐46)一)
  6. 驚き、悲しみなどで心が非常に痛む。
    1. [初出の実例]「胸つぶれて『こち来』といひて」(出典:大和物語(947‐957頃)一〇三)
  7. 本来有効に使えるものが無駄になる。ついえとなる。
    1. [初出の実例]「これだけで半日つぶれてしまい」(出典:青べか物語(1960)〈山本周五郎〉水汲みばか)
  8. 声や音がかすれてよく出なくなる。
    1. [初出の実例]「低く物言ふ伶人の母 つぶれた声を誉る節分」(出典:俳諧・武玉川(1750‐76)九)
  9. 名誉や面目などを失う。
    1. [初出の実例]「それこそ長年角正で売り込んだ店の信用はまるで潰(ツブ)れてしまふんです」(出典:澪(1911‐12)〈長田幹彦〉四)
  10. 正体がなくなる。多く、酔って正気がなくなる場合にいう。
    1. [初出の実例]「つはものめ・つぶれてもけさきよろりがみそ」(出典:雑俳・削かけ(1713))

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

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