心の対象である観念間を支配する連想的な関連で,任意の観念が自然に他の観念を呼びおこし,心に現前させる種類の結合をいう。観念連合説の古典的形態は古くから見られるが,顕著な代表例は近代イギリス経験論で,ホッブズ,ロックらにも発見される。しかし,たとえば,ロックなどのまだ消極的な傾向とは別に,観念連合に積極的な意義を与えたのはヒュームである。彼は観念間の関係として三つの自然的関係,すなわち,類似,接近,因果を考える。たとえば,友人に類似した肖像画を見れば,心はおのずとその友人を想起するように決定される。また,ヒュームは,伝統的な因果関係に帰せられる必然性を,心がこの自然的関係によって通常因果的とみられる,恒常的に連接された一対象から他の対象へと移行する習慣と,これに基づく心の必然性とによって説明した。しかし,観念連合説をより徹底し,その創始者といわれたのはハートリーDavid Hartleyであり,彼は心身平行論という生理学的基礎の上に,二つの外的刺激が脳過程に回を重ねて反復されると,一方の生起は必然的に他方の生起を促すことを主張した。連合説はミル父子にも影響を与えたが,さらに,スペンサーの心理学,機能心理学,能力心理学,表象心理学のように,ゲシュタルト心理学以前のあらゆる心理学の学派やフロイト的精神分析にも影響を及ぼした。
→観念
執筆者:杖下 隆英
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… 近代において一応学としての心理学らしきものがはじまったのは,イギリスの経験論にもとづくロック,D.ヒュームらの連合心理学からである。この学派によれば,生まれたとき人間は白紙(タブラ・ラサ)であって,経験によって観念を獲得し,さまざまな観念が連合して精神が形成される(観念連合)。つまり精神は経験からくる観念という要素の寄せ集めであって,それ自体としての存在をもたない。…
…対象のリアルな大きさ,形,配置なども同様である。われわれが視覚でこれらを知るのは,過去の経験を通じて両種の観念の間に習慣的連合(観念連合)が成立しているからで,デカルトやマールブランシュが説くように幾何学的・理性的な判断の働きによるのではない。全体として,数学的・自然科学的な概念構成の世界から日常的な知覚の経験に立ち返り,その次元で存在の意味を問いなおそう,というのがこの書の基本精神である。…
※「観念連合」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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