訪れる(読み)オトズレル

デジタル大辞泉 「訪れる」の意味・読み・例文・類語

おと‐ず・れる〔‐づれる〕【訪れる】

[動ラ下一][文]おとづ・る[ラ下二]《「音れる」の意》
人やある場所をたずねる。訪問する。「新居を―・れる」
季節やある状況がやって来る。「夏が―・れる」「やっと平和が―・れた」
音や声を立てる。
ころは卯月十日あまりの事なれば、雲井に郭公二声三声―・れてぞ通りける」〈平家・四〉
便りをする。手紙を出す。
「いと恥づかしくて、え―・れやらず」〈紫式部日記
[類語]訪ねる訪問見舞う伺うお邪魔おとな上がる歴訪来る

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「訪れる」の意味・読み・例文・類語

おと‐ず・れる‥づれる【訪】

  1. 〘 自動詞 ラ行下一段活用 〙
    [ 文語形 ]おとづ・る 〘 自動詞 ラ行下二段活用 〙
  2. 音を立てる。声を立てる。
    1. [初出の実例]「ゆふされば門田の稲葉おとづれて蘆のまろ屋に秋風ぞ吹く〈源経信〉」(出典:金葉和歌集(1124‐27)秋・一六四)
    2. 「道場には太皷おとづれて」(出典:浮世草子・世間胸算用(1692)五)
  3. 人のもとをたずねる。訪問する。おとなう。
    1. [初出の実例]「あまびこのをとづれじとぞ今は思ふ我か人かと身をたどる世に〈小野春風〉」(出典:古今和歌集(905‐914)雑下・九六三)
  4. ある状態、時節がやって来る。
    1. [初出の実例]「このころから、はじめて忘却が〈略〉夫婦の心に訪れた」(出典:真夏の死(1952)〈三島由紀夫〉)
    2. 「第二のブームが訪れた」(出典:日本の裏街道を行く(1957)〈大宅壮一〉長州の神々)
  5. 手紙で様子をたずねる。たよりをする。おとなう。
    1. [初出の実例]「かかるところを見おきて、帰りしままに、いかにともをとづれこず」(出典:蜻蛉日記(974頃)中)
    2. 「文もやらずなりにけり。女、兄(せうと)のはかりたるとは知らで、『あやしうをとづれぬ』と思ひをり」(出典篁物語(12C後か))

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

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