認知症カフェ(読み)にんちしょうかふぇ

共同通信ニュース用語解説 「認知症カフェ」の解説

認知症カフェ

認知症の人と家族、地域住民、医師介護職といった専門職などが集い、理解を深める場として2013年ごろから本格的に普及した。英国オランダの取り組みを参考にしたとされる。地域包括支援センターや介護サービス事業者、NPO法人などが公共施設民家などさまざまな場所で開催。お茶を飲んだり食事したりしながら情報交換する。14年度は41都道府県の280市区町村で開かれた。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「認知症カフェ」の意味・わかりやすい解説

認知症カフェ
にんちしょうかふぇ

認知症の人やその家族、地域住民、介護や福祉などの専門家などが気軽に集い、情報交換や相談、認知症の予防症状の改善を目ざした活動などのできる場所。自治体や病院、高齢者施設、特定非営利活動法人(NPO)などによって運営される施設で、数百円の利用料や茶菓代を支払うだけで利用できる。おもに初期段階の認知症や若年性認知症軽度認知障害MCI)の人などを対象としており、本人や家族が認知機能の低下にいち早く気づき、早めに対策を講じて症状の進行を遅らせることを重視している。そのため、介護保険サービスを受けていない人がおもな対象となる。本人が自主的に訪問し、囲碁カラオケグラウンドゴルフなどといった、記憶や考える機能を高める遊びや訓練などの支援が受けられるほか、家族を対象とした勉強会やかかわり方に関する講習会なども行われており、孤立しがちな本人や家族と地域のつながりの場を提供している。厚生労働省が2012年(平成24)に策定した認知症施策推進五か年計画(オレンジプラン)で、認知症の予防対策、地域や家族による支援体制の強化を図るために打ち出されたプログラムで、医療福祉専門のコーディネーターを設置することなどを条件に運営資金の一部が補助される。2015年度から実施される認知症施策推進総合戦略(新オレンジプラン)においても、認知症の人やその介護者に対する支援を強化するため、2018年度からすべての市町村に設置することを基本とする予定である。

 認知症カフェは、1980年(昭和55)に京都市で発足した、「認知症の人と家族の会」(旧称「呆(ぼ)け老人をかかえる家族の会」)が、30年以上続けてきた電話相談や会報の発行、集いの場の設置といった活動が発端で、これを国が後押しする形で始まった。全国で設置が相次いでおり、地域によって運営や行事などにさまざまなくふうが凝らされるなど、地域の医療やケアの窓口としても注目されている。同じような試みは海外にもみられる。イギリスやオランダでは、メモリーカフェやアルツハイマーカフェ、オデンセハウスなどの名称で、2000年以降になって地域社会に数多く設置されている。

[編集部]

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