コトバンクはYahoo!辞書と技術提携しています。

軽度認知障害 けいどにんちしょうがいMild Cognitive Impairment

知恵蔵の解説

軽度認知障害

認知症ではないが、物忘れなどの認知症と似た症状があること。正常と認知症の中間的な状態を指す。
衣服の着脱や食事の支度、交通機関を使っての移動などは自立しており、自覚的にも周囲から見ても、物忘れ以外に日常生活上の大きな支障はないが、このうち何割かは数年後に認知症に移行していくと考えられている。認知症に移行する割合についてはまだはっきりと分かっていないが、軽度認知障害の診断を受けた人の約半数が4年以内に認知症に移行するという研究結果がある。厚生労働省研究班の推計では、65歳以上の高齢者で認知症の人が15%(462万人)、これに対して軽度認知障害(MCI:Mild Cognitive Impairment)の人は約13%(約400万人)とされている。
人の名前や読んだ本の題名など、知っているはずの固有名詞が思い出せないといった現象は、加齢と共に増えるのが一般的で、こうしたことは正常とされる。軽度認知障害が疑われるのは、大事な予定を忘れることがあったり、忘れたこと自体に本人が気づいていなかったりするような場合である。後に認知症に移行し、前駆症状であったとされるケースにおいては、こうした物忘れの他に、言葉を発したり聞き取ったりすることがうまくできなくなったり、注意力のバランスを欠いたり(注意力が途切れる、ある部分を全く無視してしまうなど)、視空間認知がこれまでと異なる(いつも通っている場所が知らない所に見える、道順が分からなくなるなど)といった症状が合併していることが多いとされている。
認知症に移行する機序について明らかにはなっていないながら、一定数が認知症に移行することは確かなため、軽度認知障害のうちに早期に発見し、その段階から適度な知的刺激や運動を促すことによって、認知症の発症を遅らせる効果があるのではないかと期待されている。厚生労働省では、認知症施策推進5カ年計画に基づき、2013年4月から早期診断、早期対応を始めとする対策に取り組んでいる。

(石川れい子  ライター / 2014年)

出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報

朝日新聞掲載「キーワード」の解説

軽度認知障害

日常生活は送れるが、1日前の出来事を忘れることがあるなど認知機能が低下した状態。アルツハイマー病に進む人もいる。

(2007-07-04 朝日新聞 朝刊 1総合)

出典 朝日新聞掲載「キーワード」朝日新聞掲載「キーワード」について 情報

デジタル大辞泉の解説

けいど‐にんちしょうがい〔‐ニンチシヤウガイ〕【軽度認知障害】

記憶力が年齢相応以上に低下し、物忘れがひどくなったという自覚があるが、それ以外に認知機能の障害はみられず、日常生活に大きな支障のない状態。認知症になる可能性が高いとされるが、早期に治療を始めることで進行を遅らせる効果が期待される。MCI(mild cognitive impairment)。

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

軽度認知障害
けいどにんちしょうがい
mild cognitive impairment

記憶や思考などに関する障害の度合いが正常な加齢状態とアルツハイマー病の間にある、認知症予備軍の段階。略称MCI。一般的には以下の5項目に該当する状態をMCIとする。(1)本人あるいは周囲の家族からみて物忘れ(健忘)が認められる、(2)加齢の影響では説明できない記憶障害がある、(3)日常生活動作(ADL)は正常である、(4)全般的な認知機能は正常である、(5)認知症ではない。
 軽度認知障害の段階にある人は、いずれは認知症に移行する可能性が高いため、アルツハイマー病研究の国家プロジェクトであるJ-ADNI(ジェイアドニ)においても、認知機能を比較するうえで血液検査や心理検査、脳のMRI検査やPET検査などの被検対象とされている。[編集部]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

軽度認知障害の関連キーワードアミロイドPETデュアルタスク認知症カフェ認知機能検査もの忘れ外来hand

今日のキーワード

桃李もの言わざれども下自ら蹊を成す

《「史記」李将軍伝賛から》桃やすももは何も言わないが、花や実を慕って人が多く集まるので、その下には自然に道ができる。徳望のある人のもとへは人が自然に集まることのたとえ。...

続きを読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android

軽度認知障害の関連情報