オレンジプラン(読み)おれんじぷらん

共同通信ニュース用語解説 「オレンジプラン」の解説

オレンジプラン

厚生労働省が2013年度から始めた認知症施策推進5カ年計画。症状が重くなってから施設で対応する方針を転換し、地域で生活しやすいよう早期段階対策を講じるのが柱。保健師らが家庭訪問し、認知症の症状があれば医師を紹介したり、家族らに患者への対処法を助言したりする「初期集中支援チーム」の設置を盛り込んだ。専門医や、認知症の十分な知識を持つかかりつけ医を増やすための研修を進めている。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「オレンジプラン」の意味・わかりやすい解説

オレンジプラン
おれんじぷらん

国が認知症対策として総合的に取り組む国家戦略通称。2013年度(平成25)から進めてきた「認知症施策推進5か年計画(オレンジプラン)」と、それにかわるものとして策定し、2015年度から実施される「認知症施策推進総合戦略(新オレンジプラン)」とがある。

 新オレンジプランの対象期間は団塊世代が75歳以上となり、認知症有病者が65歳以上の5分の1にあたる700万人に達すると推計される2025年までで、旧オレンジプランの骨子を踏襲しつつ、目標値の引上げなどの具体策が盛り込まれた。ただし数値目標は2017年度末とする。新プランでは、認知症の人の意思が尊重され、住み慣れた環境で自分らしく暮らし続けることができる社会の実現を目ざすと宣言され、その内容は以下の七つを柱としている。(1)認知症への理解を深めるための普及啓発の推進。(2)認知症の容態に応じた適時・適切な医療・介護等の提供。(3)若年性認知症施策の強化。(4)認知症の人の介護者への支援。(5)認知症の人を含む高齢者にやさしい地域づくりの推進。(6)認知症の予防法、診断法、治療法、リハビリテーションモデル、介護モデル等の研究開発およびその成果の普及の推進。(7)認知症の人やその家族の視点の重視。

 新プランでは、認知症の発症予防の段階から切れ目なく、早期診断、早期治療に取り組む体制の面で目標値を大きく引き上げており、2017年度末時点で、全国のかかりつけ医認知症対応力向上研修受講者数を6万人、認知症サポート医養成研修受講者数を5000人とした。また、初期段階の認知症の人に集中的な取組みを行う認知症初期集中支援チームを、2018年度に全国すべての市町村で設置することや、認知症の人やその家族など介護者を支援する認知症カフェを地域の実情に応じて設置することなどを目標として掲げている。また、地域の認知症サポーターの目標値も、2017年度末に600万人であったものを800万人に引き上げた。

 厚生労働省が2014年に公表した推計によれば、認知症高齢者は有病率が上昇すると仮定した場合で2025年に730万人、2050年までに1000万人を超え、2060年に1154万人に達すると見込まれる。2014年時点で、徘徊(はいかい)による行方不明はおよそ1万件に上り、高齢者や認知症の人をねらった犯罪も後を絶たない。新プランでは、介護食の開発やバリアフリー化の推進、徘徊高齢者の早期発見につなげる対策など、長期にわたる認知症有病率の推計に基づいて府省庁や自治体が横断的に取り組む課題が盛り込まれている。

[編集部]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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