諸手船(読み)モロタブネ

デジタル大辞泉 「諸手船」の意味・読み・例文・類語

もろた‐ぶね【諸手船】

多くのついた早船。また、2挺櫓の早船。
島根県松江市にある美保神社諸手船神事に用いるくり舟 冬》

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精選版 日本国語大辞典 「諸手船」の意味・読み・例文・類語

もろた‐ぶね【諸手船】

  1. 〘 名詞 〙 ( 「もろた」は諸手または両手の意 )
  2. 多くの櫓のついた早船、または二挺櫓の早船。
    1. [初出の実例]「故、熊野の諸手(モロタ)船〈亦の名は天の鴿(はと)船〉を以て、使者(つかひ)稲背脛(いなせはき)を載(の)せて遣(や)りつ」(出典日本書紀(720)神代下(兼方本訓))
  3. 島根県松江市にある美保神社の諸手船神事に用いるくり舟。《 季語・冬 》

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改訂新版 世界大百科事典 「諸手船」の意味・わかりやすい解説

諸手船 (もろたぶね)

島根県松江市の旧美保関町美保神社の諸手船神事に用いられる刳(くり)舟。常時2艘を備えつけ,約40年ごとに造り替えるきまりで,現存のものは1980年に古形を踏襲して造ったもの。長さ6.36m,肩幅の広いところ1.15m,材はモミで,本来は一本木の丸太彫であったが,現在のものは2本の丸太を別々にくって合わせた2枚継ぎになっている。漕具は櫂(かい)である。同じ名の船は和歌山県新宮市の熊野速玉大社にもあるが,この方は完全な板船に変わっている。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「諸手船」の意味・わかりやすい解説

諸手船
もろたぶね

多数の手で漕ぐ古代日本船の一種。『日本書紀』にその記述があり,上代以前に使用された船であることがわかる。現在は和歌山県の熊野速玉神社と島根県の美保神社に諸手船と呼ばれる船が残っている。美保神社のものは長さ 6.3m,大1,小8の櫂によって動かすようになっている。現在では神事だけに用いられている。

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