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谷間の百合 たにまのゆりLe Lys dans la vallée

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

谷間の百合
たにまのゆり
Le Lys dans la vallée

フランスの小説家バルザックの小説。 1836年刊。彼の小説群『人間喜劇』のなかでも最高傑作の一つ。きまじめで多感な青年フェリックスは,アンドル川の谷間に住む美しいモルソーフ伯夫人アンリエットに魅せられ,愛を告白するが,夫人は妻としての義務からそれを退ける。パリに出たフェリックスは誘惑されて愛欲生活に沈む。それを知った夫人は心痛と嫉妬から病に落ち,「私の一生は嘘ばかりでした」と言って彼への肉の愛を告白して死ぬ。物語は中部フランスの美しいトゥレーヌ地方を背景に展開する。

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デジタル大辞泉の解説

たにまのゆり【谷間の百合】

《原題、〈フランス〉Le Lys dans la valléeバルザック長編小説。1835年刊。熱烈に求愛する青年貴族フェリックスにひかれながらも、自制して精神的な愛でこたえる伯爵夫人の内面の悲劇を描く。

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大辞林 第三版の解説

たにまのゆり【谷間の百合】

バルザックの長編小説。1835年刊。青年貴族の熱烈な求愛に、情熱と倫理の相克に悩みながら精神的な愛でこたえる道を選んだ清楚で貞潔な伯爵夫人の内面の悲劇を描く。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

谷間の百合
たにまのゆり
Le lys dans la valle

フランスの作家バルザックの長編小説。1836年刊。虚弱で肉親の愛を知らない青年フェリックスが、舞踏会で思わず美しい肩に接吻(せっぷん)してしまった貴夫人に再会し、アンドル川の谷間のその城館に足しげく通って熱烈な求愛を続けるが、相手のモルソフ夫人は貞潔な母性的愛情でしかこたえず、彼に出世の便宜を図ってやり、社交界での処世術を教えてパリへ送り出す。彼女が危篤(きとく)との報に接して戻った彼は、初めて彼女の告白を聞き、いかに彼女が彼を愛し、欲望と嫉妬(しっと)に苦しんでいたかを知るという悲恋物語である。美しいロアール地方の自然描写と「白百合」のようなモルソフ夫人の清楚(せいそ)さがみごとに調和して、一種象徴的な哀(かな)しみをたたえている。ただし、この物語は後年、功成り名遂げたフェリックスが別の女性に宛(あ)てて書いた恋文のなかで語られるという二重構造をもっていて、バルザックの飽くなき実験精神を証している。[平岡篤頼]
『宮崎嶺雄訳『谷間の百合』全二冊(岩波文庫)』

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