貸衣装(読み)カシイショウ

デジタル大辞泉 「貸衣装」の意味・読み・例文・類語

かし‐いしょう〔‐イシヤウ〕【貸(し)衣装】

使用料を取って貸す洋服和服婚礼などの儀式用の他、パーティー・舞台用などがある。

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精選版 日本国語大辞典 「貸衣装」の意味・読み・例文・類語

かし‐いしょう‥イシャウ【貸衣装・貸衣裳】

  1. 〘 名詞 〙 主に、冠婚葬祭や舞台用などの、使用料を取って貸す衣服
    1. [初出の実例]「貸衣裳(カシイセウ)又同じく一枚三銭より五六銭位までのもの多くは下等芸人一日の晴衣に向って用立つ」(出典最暗黒之東京(1893)〈松原岩五郎一二)

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改訂新版 世界大百科事典 「貸衣装」の意味・わかりやすい解説

貸衣装 (かしいしょう)

料金をとって貸し出す和,洋服のことで,これを業とするものを貸衣装屋という。婚礼用衣装をはじめ慶弔用各種礼服,七五三の祝着その他がある。歴史的には江戸時代にまでさかのぼるが,当時は損料屋(そんりようや)といい,借りた衣装を損料物といった。衣服だけでなく調度,布団,装身具なども貸し出した。後には古着屋の副業ともなった。貧しい下層町人は古着に依存し,祭りには貸浴衣を利用した。貸衣装屋として独立するのは明治末になってからで,官界に洋服が普及し,下級官員も,洋礼装のモーニングコートやフロックコート着用の必要に迫られたのが契機であった。一般にも和装の慶弔用式服など,貸衣装で体裁をととのえる傾向が強くなった。当初は呉服屋兼業が多く,大正,昭和に入っても,葬儀屋と提携しての喪服が中心であった。婚礼用はほとんどなく,貸衣装として利用されるようになるのは第2次大戦後,1950年前後からである。現代ではその合理性,経済性が認められ,付属の小物もそろう貸衣装が普及している。
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