日本大百科全書(ニッポニカ) 「越知」の意味・わかりやすい解説
越知(町)
おち
高知県中央部、高岡郡にある町。仁淀(によど)川中流域に位置する。1900年(明治33)町制施行。1954年(昭和29)大桐(おおぎり)村、横畠(よこばたけ)村と合併、明治村を編入。国道33号(松山街道)が通過する。仁淀川は町域内で著しい穿入(せんにゅう)蛇行をみせ、河岸段丘や氾濫(はんらん)原が発達。水田や桑園に利用され、かつては養蚕業が盛んであった。高知県の蚕糸業の歴史を紹介する蚕糸資料館がつくられている。農業が主産業で、ショウガ、ピーマンなどの露地野菜、茶、ナシを生産する。大桐川、柳瀬(やなせ)川の両支流と本流の合流点の段丘上に中心集落の越知が立地し、かつては下流のいの町伊野、高知市春野町(はるのちょう)地区新川などに通じ、製紙原料、薪炭などの集散地でもあったが、衰退した。横倉山県立自然公園、安徳(あんとく)天皇陵墓参考地や大樽(おおだる)の滝などの観光地もある。面積111.95平方キロメートル、人口5187(2020)。
[大脇保彦]
『『越知町史』(1984・越知町)』