足掻く(読み)アガク

デジタル大辞泉 「足掻く」の意味・読み・例文・類語

あ‐が・く【×掻く】

[動カ五(四)]
手足を振り動かしてもがく。じたばたする。「水面に浮かび上がろうと―・く」
活路を見いだそうとして必死になって努力する。あくせくする。「今さら―・いてもしかたがない」
馬などが前足地面をかく。また、そのようにして進む。
「馬は―・いた。(馬車ノ)車輪は廻らぬままで、…石ころの上を引きずり出した」〈伊藤整・馬喰の果て〉
いたずらをして暴れ回る。ふざける。
禿かぶろどもも、―・いたら遣手やりてに告げて𠮟らすぞ」〈浄・博多小女郎
[類語]もがく悶えるのた打つのた打ち回る身悶え転げ回る七転八倒じたばたする

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「足掻く」の意味・読み・例文・類語

あ‐が・く【足掻】

  1. 〘 自動詞 カ行五(四) 〙
  2. 馬、牛などが地面を掻くように足を動かす。そのようにして歩き、走り、また、地を踏む。
    1. [初出の実例]「むこ川の水脈(みを)をはやみか赤駒の足何久(あガク)たぎちに濡れにけるかも」(出典万葉集(8C後)七・一一四一)
    2. 「車をやれといふと心得て、五六町こそあがかせたれ」(出典:平家物語(13C前)八)
  3. 手足をじたばたする。また、手足を動かしてもがく。
    1. [初出の実例]「思すやうに、平かにてと、手をあがきて祈り」(出典:宇津保物語(970‐999頃)国譲上)
  4. いたずらをしてあばれる。遊びまわる。また、騒ぎ立てる。主として子供のことにいう。
    1. [初出の実例]「早くねせて、とく起し、昼あがかせたが万病円」(出典:浄瑠璃・鑓の権三重帷子(1717)上)
  5. 目的に向かってじたばたする。もがき苦しむ。気をもむ。
    1. [初出の実例]「財宝をほしがってあがけば、わざわい恥辱なことが来ぞ」(出典:玉塵抄(1563)一〇)
    2. 「人雇へば銭が出る、それ出すまいとあがいた代に」(出典:浄瑠璃・道成寺現在蛇鱗(1742)二)
  6. まめに動いて一所懸命に励む。また、気をもんで働く。あくせくする。〔日葡辞書(1603‐04)〕
    1. [初出の実例]「次第次第に貯蓄(たくはへ)の手薄になる所から足掻(あが)き出したが」(出典:浮雲(1887‐89)〈二葉亭四迷〉一)
  7. 口をきく、隠語などを使うことをいう、人形浄瑠璃社会の隠語。
    1. [初出の実例]「古るけれど折にはせんぼうもあがき」(出典:洒落本・浪花色八卦(1757)桔梗卦)

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