身固(読み)みがため

精選版 日本国語大辞典 「身固」の意味・読み・例文・類語

み‐がため【身固】

〘名〙
① 身体が丈夫になるように、加持や祈祷をすること。また、そのような祈祷やまじない
※宇治拾遺(1221頃)二「晴明少将をつといだきて、身かためをし、又何事にか、つぶつぶと〈略〉よみきかせ加持しけり」
② ある行為のための衣服を身にまとって準備を整えること。
※助左衛門四代記(1963)〈有吉佐和子〉序「白一色の木綿で身固めした巡礼たちは」
③ 自分の身を守護すること。身の安全を図るため、護身の術などを修得すること。また、その術。護身術
④ 結婚して家庭を持って一人前の社会人となること。身を固めること。

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改訂新版 世界大百科事典 「身固」の意味・わかりやすい解説

身固 (みがため)

陰陽道で一身の安全を祈って行う呪術作法。平安期以来,天皇が身固をする場合,御衣を陰陽師に与え,これに呪術をほどこす。《宇治拾遺物語》には安倍晴明が少将某を身固するのに,この人物を抱き呪文をとなえ加持した話を載せている。これは密教でいう護持に相当し,一般には撫物(なでもの)と称し,陰陽師の用いる人形を,依頼する人がなでまわしてこれを川に流す呪法も,広い意味からは身固の作法の一部とみなしうる。一説に身固は反閇(へんばい)の略法ともいわれ,反閇は六甲術とも称し,その作法の陰陽道の宗家である賀茂・安倍両氏の習伝するところで,大地を踏む所作禹歩)が含まれる。鎌倉幕府では将軍の身固を9人の陰陽師が奉仕し,鶴岡八幡宮社参の際は廊車寄の戸においてこれを勤める。室町幕府でも将軍外出のとき,御供衆申次が門のところで御身固を言上し,これに応じ公卿が出て三拝し,反閇を勤めることになっていた。
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