翻訳|ganglion
関節や腱鞘の近くに発生し,繊維性の包内に粘稠な液を満たした腫瘤。真性の腫瘍ではなく,良性の腫瘍様の疾患である。原因は明らかでないが,結合組織の変性があるところに外傷などの誘因が加わることにより,中胚葉細胞のムコ多糖の分泌能がたかまって発生するものと考えられる。手関節の背側に最も多く発生し,そのほか手関節屈側(腹側)の橈側(母指側),指の掌側の基部など手部に多くみられる。
症状は腫瘤の小さなうちはないが,大きくなると,外から腫瘤に触れることができ,また手背のものは膨隆を外から見ることができるようになり,圧痛や運動痛を生ずる。神経の近くに発生したものでは,神経を圧迫して麻痺を生ずることがある。尺骨神経や腓骨神経に多い。特殊なものに,神経繊維の間に発生する神経内ガングリオン,膝関節の半月軟骨の内部から発生する半月板ガングリオンなどがある。腫瘤が目だち,また痛みのあるものでは治療が必要である。はじめは注射針で穿刺(せんし)して内容物を抽出するが,再発が少なくないので,繰り返し発生するときは,手術によりガングリオンを繊維性の包ごと全部摘出する。
執筆者:吉川 靖三
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結節腫(しゅ)ともいう。腱鞘(けんしょう)、腱、関節嚢(のう)に関連した結合組織が膠(にかわ)状の変性をおこすことにより発生するものとされる指頭大の平滑な球状の嚢腫である。手首の関節背部に好発するが、まれには手首の掌(しょう)側、肘(ちゅう)(ひじ)関節、膝(しつ)(ひざ)関節、足首などにも発生する。普通単発であるが、ときに多発する。若年者に多くみられ、男性よりも女性に多い。診断は、嚢腫を穿刺(せんし)するとゼリー状の透明な物質を得るので容易である。治療は、摘出手術がもっとも確実であるが、しばしば嚢腫が関節嚢に続き、関節腔(くう)を開くようになることから、手術は絶対に無菌的に行わなければならない。
[池田重雄]
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出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
…末梢神経系における神経細胞体の集合をいう。これに対し,中枢神経系(脳と脊髄)内における神経細胞体の集合を(神経)核nucleus(細胞の〈核〉と文字は同じであるが概念はまったく違う点に注意)という。しかし,中枢神経内の神経細胞体の集合に対しても慣用的に〈節〉が用いられている場合がある(たとえば基底神経節basal ganglia)。本来の意味での神経節,すなわち末梢神経系における神経細胞体の集合には,集合している神経細胞の性質の違いによって,感覚神経節sensory ganglionと自律神経節autonomic ganglionが区別される。…
…〈核nucleus〉という語は,日本語,英語ともに細胞の場合の核と同じであるが,その内容,意味はまったく異なる点には注意を要する。また,末梢神経系においてはニューロンの細胞体の集合を神経節ganglionと呼び,これには感覚神経節と自律神経節がある。 神経核のなかでも,運動核(運動ニューロンの細胞体の集合),自律神経起始核(自律神経起始ニューロンの細胞体の集合),感覚核(感覚神経節ニューロンがシナプス連絡する中枢神経系ニューロンの細胞体の集合)などは,その性質が比較的単純である。…
※「ガングリオン」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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