(読み)ショク

デジタル大辞泉 「軾」の意味・読み・例文・類語

しょく【×軾/式】

昔、中国で、車の前に設けた横木車中で敬礼するときに手をついたところ。

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精選版 日本国語大辞典 「軾」の意味・読み・例文・類語

しょく【軾・式】

  1. 〘 名詞 〙 ( 「しょく」は「軾」「式」の漢音 )
  2. 昔、中国で馬車の床の前に設けた横木。車中で敬礼するとき、これに両手をついて身を伏せた。〔易林本節用集(1597)〕 〔史記‐淮陰侯伝〕
  3. 宮中の庭上または殿上礼拝の位置を示すために敷く座席。布または薦(こも)長方形敷物近世の神事用は藺製高麗端(べり)半畳を普通としている。ひざつき。

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普及版 字通 「軾」の読み・字形・画数・意味


13画

[字音] ショク
[字訓] とじきみ

[説文解字]

[字形] 形声
声符は式(しき)。〔説文〕十四上に「車なり」とあり、車の輿の前の横木をいう。兵車の軾は高さ三尺三寸。車上の礼は、軾に身を寄せて行うので、伏軾という。

[訓義]
1. しょく、くるまのとじきみ。
2. しょくする、車上の礼。

[古辞書の訓]
和名抄〕軾 車乃止之岐美(くるまのとしきみ)〔名義抄〕軾 クルマノトジキミ・ヒザツキ・オシマツキ・トドム 〔字鏡集〕軾 イクサグルマ・ヲシマツキ・クルマノマヘ・クルマノトジキミ

[語系]
軾・式sjikは同声。軾の形は弋・杙jikに類しており、その形義をとる語である。

[熟語]
軾閭
[下接語]
華軾・画軾・拠軾・見軾・広軾・衡軾・憑軾・拊軾・撫軾・伏軾

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「軾」の意味・わかりやすい解説


ひざつき

敷物の一種。膝突、膝著、膝衝などとも書かれる。朝廷における儀式や行事のとき、大臣や上卿(しょうけい)といわれる行事の首席者が、地面に膝(ひざ)をついて礼拝する際に敷く布帛(ふはく)や薦(こも)。軾(しき)は、元来、車の前につけられた横木のことであるが、転じて車上で礼をするときの寄りかかる横木の意になり、さらに肘突(ひじつき)の意、またさらに転じて膝突の意にかわり、軾を「ひざつき」と読むようになったと思われる。『東大寺献物帳』に「御軾」が掲げられ、それに該当する正倉院の宝物は、細長い大形の枕(まくら)状の肘突である。また『延喜式(えんぎしき)』掃部(かもん)寮の巻に、軾一枚(長さ2尺5寸広さ1尺)とあるものも肘突と思われる。平安時代中期以降、『西宮記(さいぐうき)』その他の文献に膝突がみえ始め、『北山抄(ほくざんしょう)』には「膝著に就く履(くつ)を脱がず」とある。平安後期以後に軾の字を用いて、「ひざつき」と読む場合が出てくる。『伴大納言絵詞(ばんだいなごんえことば)』中巻に左大臣源信(まこと)が庭上に荒薦を敷いてひざまずき拝むさまが描かれ、この薦が膝突にあたるであろう。

[高田倭男]

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