精選版 日本国語大辞典 「轍」の意味・読み・例文・類語

てつ【轍】

〘名〙
① 車が通った輪の跡。わだち。
太平記(14C後)三七「今日は轍(テツ)に伏す涸魚(かくぎょ)三升の水を求るに異ならず」 〔韓愈‐進学解〕
② (比喩的に) 前人の行なったあと。先例。先例の通りのやり方。
※閑耳目(1908)〈渋川玄耳〉よくよく女は嫌なもの「孰れも近き未来に於て猶太民族の轍(テツ)を追ふかの如く」
※杏の落ちる音(1913)〈高浜虚子〉一五「此日もまた其轍であらうと余り当てにせずに待ってゐると」

わ‐だち【轍】

〘名〙
① 車が通り過ぎたあとに残る車輪の跡。車轍
※新撰六帖(1244頃)一「小車の道のをの松はやともせ輪だちも見えず日は暮れにけり〈藤原信実〉」
② 車輪。
※かた言(1650)二「車軸の雨とは、大粒に降侍るかたまりたる水の上に落て、車の軸のごとくとびあがり、頓てそのまはりに轍(ワダチ)かたちをなすことと也」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

デジタル大辞泉 「轍」の意味・読み・例文・類語

てつ【轍】[漢字項目]

[音]テツ(漢) [訓]わだち
通りすぎた車輪の跡。わだち。「軌轍車轍転轍機
筋道行き方。先例。「途轍同一轍

わ‐だち【×轍】

《「だち」の意》車の通ったあとに残る車輪の跡。「ぬかるみにがつく」

てつ【×轍】

車が通ったあとに残る輪の跡。わだち。

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

今日のキーワード

暖冬

冬期3カ月の平均気温が平年と比べて高い時が暖冬、低い時が寒冬。暖冬時には、日本付近は南海上の亜熱帯高気圧に覆われて、シベリア高気圧の張り出しが弱い。上層では偏西風が東西流型となり、寒気の南下が阻止され...

暖冬の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android