普及版 字通 「辟」の読み・字形・画数・意味 辟13画 [字音] ヘキ・ヒ・ヘイ[字訓] つみ・きみ・おさめる・のり・つかえる[説文解字] [甲骨文] [金文] [字形] 会意尸(し)+口+辛(しん)。尸は人の側身形。辛は把手(とつて)のある細身の曲刀の形。この曲刀で、人の腰間の肉を切り取る刑罰の法を示し、口はその肉片の形。もと円い形にかかれている。辟は刑辟を意味する字である。〔説文〕九上に「法なり。卩(せつ)に從ひ、辛に從ふ。其の(つみ)を制するなり。口に從ふは、法を用ふるなり」とするが、すべて字形の解釈を誤まる。卜辞に「多辟臣」の語があり、罪辟によって神の徒隷とされたものの意である。西周期の金文には、〔大盂鼎(だいうてい)〕に「殷の正百辟」、〔麦尊(ばくそん)〕に「辟(きみ)侯(けいこう)」、〔献彝(けんい)〕に「(わ)が辟たる天子」のように辟君の意に用い、また「先王に辟(つか)ふ」「我一人に辟ふ」のように辟事する意に用いる。また罪辟の意よりして法則の意が生まれ、辟治の意となる。もと刑辟を意味し、腰斬の刑を大辟という。それで辟声の字に、側僻の意をもつものが多い。[訓義]1. つみ、ころす、腰斬、腰肉をとる。2. きみ、天子、諸侯、王后、辟君。3. おさめる、しおきする、めす。4. のり、おきて、のっとる、さだめる、あきらかにする。5. つかえる、きみとする、のりとする。6. のぞく、すてる、さる。7. 躄(へき)と通じ、あしなえ。8. 僻と通じ、さける、それる、かたよる、とおい、いやしい、よこしま。9. (へき)と通じ、うつ、ひらく。10. 譬(ひ)と通じ、たとえ、たとえる。[古辞書の訓]〔名義抄〕辟 ハリ・メス・キミ・カタフク・ハカル・ヒラク・ノゾク・タトヒ・サル 〔立〕辟 ワカツ・ヒガコト・ヲフ・ノガル・メス・ハラフ・ユガム・ツミ・タトヒ[部首]〔説文〕に・の二字をその部に属し、〔玉〕も同じ。(へき)は刑の初文井(けい)を加えたもので辟(へき)声、形声とすべき字。乂(がい)は鋏(はさみ)の形で、切断の意である。[声系]〔説文〕に辟声として璧・躄・(避)・譬・臂・劈・僻・襞・闢・擘・嬖・甓・壁など二十一字を収める。癖は〔玉〕にみえ、「、せざるなり」という。辟声の字はおおむね側僻・僻在の意をもつ。ただ璧は刑辟の切り取った肉のように円い意、劈・擘は強く切り裂くときの擬声語であろう。これらも、辟の声義に含まれているものである。[語系]辟・闢biek、phyek、peはみな強くうちひらく意。劈phyek、副phiuk、剖phは引き裂くように判つ意。辟声の字は、その語系に近い。[熟語]辟▶・辟就▶・辟暑▶・辟称▶・辟世▶・辟地▶・辟悪▶・辟倚▶・辟異▶・辟違▶・辟引▶・辟▶・辟隠▶・辟雨▶・辟易▶・辟遠▶・辟回▶・辟忌▶・辟客▶・辟宮▶・辟居▶・辟挙▶・辟禁▶・辟▶・辟倪▶・辟睨▶・辟言▶・辟公▶・辟穀▶・辟在▶・辟士▶・辟▶・辟邪▶・辟儒▶・辟書▶・辟小▶・辟召▶・辟仗▶・辟請▶・辟席▶・辟斥▶・辟積▶・辟説▶・辟池▶・辟置▶・辟田▶・辟蠹▶・辟土▶・辟匿▶・辟▶・辟払▶・辟聘▶・辟民▶・辟名▶・辟命▶・辟盟▶・辟雍▶・辟踊▶・辟羅▶・辟吏▶・辟歴▶・辟陋▶・辟穢▶[下接語]維辟・英辟・匡辟・群辟・啓辟・招辟・徴辟・明辟 出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報