改訂新版 世界大百科事典 「近星点」の意味・わかりやすい解説
近星点 (きんせいてん)
periastron
二つの恒星が万有引力で結合し共通重心のまわりを楕円軌道を描いて公転しているとき,その軌道上で両天体がもっとも近づく点を近星点という。太陽のまわりを回る惑星の場合は近日点,地球のまわりを回る人工衛星の場合は近地点という。連星の主星を焦点とする伴星軌道を考え,伴星が近星点を通過する時刻を近星点通過といい,連星軌道を決定する重要な要素の一つである。連星が近接連星のとき,この近星点の位置がゆっくり変わっていく近星点移動という現象が起こることがある。これは,近接した連星では主星と伴星の間に強い潮汐力が働くので,星の形状が球形からずれて向かい合った側と反対側方向にのびた楕円体状になる結果,このずれた部分の引力が軌道運動にまで影響を及ぼすためである。
→遠星点
執筆者:北村 正利
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報