常備軍(読み)ジョウビグン

デジタル大辞泉 「常備軍」の意味・読み・例文・類語

じょうび‐ぐん〔ジヤウビ‐〕【常備軍】

国家平時から常設している軍隊スタンディングアーミー
[類語]正規軍レギュラーアーミースタンディングアーミー

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精選版 日本国語大辞典 「常備軍」の意味・読み・例文・類語

じょうび‐ぐんジャウビ‥【常備軍】

  1. 〘 名詞 〙 平常備えておく軍隊。平時編制によってさだめられた国防兵力。
    1. [初出の実例]「常備軍 屯営に在て現役に服する者とす」(出典:軍制綱領(1875)〈陸軍省編〉二)

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百科事典マイペディア 「常備軍」の意味・わかりやすい解説

常備軍【じょうびぐん】

平時から編制されている専門的な軍隊。戦時に動員される予備・後備軍や,民兵と区別される。封建時代騎士,日本の兵農分離後の武士武家)などがそれであり,絶対主義国家も有力な常備軍を保持した。近代国家では,戦時に大量動員する大衆軍の基幹として常備軍を保有している。
→関連項目正規軍絶対王政傭兵陸軍

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山川 世界史小辞典 改訂新版 「常備軍」の解説

常備軍(じょうびぐん)
standing army

平時においても恒常的に維持されている軍隊。百年戦争時にフランスのシャルル7世創設した軍隊が近代常備軍の起源とされる。火器の普及や戦術の変化などにより,従来の封建制による騎士の軍隊に代わって,より多くの兵士で構成される専門部隊が必要となった。近世絶対主義の時代になると,軍事費をまかなうための財政が整備され,国王の直接支配のもとに強大な常備軍の創設が可能となった。また,こうした軍人を育成するための士官学校も充実した。常備軍は当初,徴募された民兵と職業軍人である傭兵とで構成されたが,国民国家の発展とともに,自国民からなる軍隊が望ましいとされるようになった。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「常備軍」の意味・わかりやすい解説

常備軍
じょうびぐん
standing army

平時から常設されている軍隊。ローマ帝国はローマ軍団をもち,時代によって規模が変った。封建時代のヨーロッパでは戦争のたびに軍隊が編制され,また,傭兵隊が大きな役割を演じた。近代的な常備軍は,スウェーデン王グスタフ2世によって 17世紀初めにつくられ,各国が模倣するようになったが,小規模の常備軍は 15世紀中頃から存在していた。グスタフ2世以前の常備軍は傭兵隊を中核とするものが多く,規模も小さかったので,志願兵,あるいは強制的に集められてきた兵から成り立っていた。常備軍は,臨時に編制され,あるいは雇われた軍隊よりも,忠誠心が高いだけでなく,既教育兵を確保する効果があった。日本における近代的な常備軍は,明治4 (1871) 年に各藩が常備兵編制定則を定めたのに次いで,明治新政府が薩摩,長州,土佐藩の兵を徴して,親兵を設置することを命じたのが始りである。

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旺文社世界史事典 三訂版 「常備軍」の解説

常備軍
じょうびぐん
standing army

国家が有事に備え平時にも常置する軍隊
古代オリエントやローマ帝国でも存在したが,封建制下のヨーロッパでは,百年戦争の末期にフランス国王シャルル7世が創設したのが始まり。王権の強化に伴い,官僚制とならんで王権の支柱となった。初め傭兵が充てられたが,18世紀より自国の正規兵をもって構成するようになり,19世紀以後はおもに短期間服役(2〜3年)の現役兵を充てるようになった。日本の常備軍は陸軍が1871(明治4)年,海軍が68年に創設された。

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世界大百科事典(旧版)内の常備軍の言及

【シビリアン・コントロール】より

…〈文民統制〉と訳す。一般的には軍人は文民civilianの権力に服従すべきことを意味するが,巨大な常備軍を備える現代国家において,シビリアン・コントロールの意味するところは一義的でない。シビリアン・コントロールの思想と制度は,清教徒革命および名誉革命を経たイギリス,これに学んだ独立革命後のアメリカにおいて生まれた。…

【戦争】より

…彼らは100人未満の小集団をなし隊長の固い統率下にあり,合戦ごとに傭われた。職業的戦闘員という点は後の常備軍志願兵と共通しているが,集団単位で契約すること,短期契約であることが違っている。雇用外の時には略奪集団に転じ,治安に大害を及ぼした。…

【徴兵令】より

…明治・大正期における国民の兵役義務に関して定めた法令。廃藩置県後,1万足らずの政府直轄軍である親兵のほかには旧各藩兵から成る4鎮台歩兵10大隊と19小隊・砲隊2隊の地方軍しかもっていなかった明治政府は,早急に統制ある常備軍建設の必要に迫られた。実現すべき兵制については,壮兵=職業兵制とするか,徴兵制とするか,民兵=国民軍制とするかについて議論があったが,陸軍大輔山県有朋の主導権のもとに徴兵制が採用され,1872年(明治5)11月に徴兵の詔・徴兵告諭,翌年1月に徴兵編成並概則を布告した。…

※「常備軍」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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