コトバンクはYahoo!辞書と技術提携しています。

過酸化ベンゾイル かさんかベンゾイルbenzoyl peroxide

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

過酸化ベンゾイル
かさんかベンゾイル
benzoyl peroxide

過酸化ジベンゾイルとも呼ばれる無色の結晶。融点 103.5℃。アルカリ触媒の存在下で塩化ベンゾイル過酸化水素とから合成される。直接加熱すると爆発するので危険だが,溶液中では熱分解によってフェニルラジカルとベンゾエートラジカルを生成する。この性質のため,ラジカル反応の開始剤としてポリメタクリル酸メチルポリスチレン,ポリアクリルニトリルなどの合成に用いられる。また乾性油や不飽和ポリエステルの橋かけ硬化剤,小麦粉などの酸化漂白剤としても使用される。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

栄養・生化学辞典の解説

過酸化ベンゾイル

 C14H10O4 (mw242.23).(C6H5CO)O2コムギ粉の改良剤で,漂白の効果のほか,熟成期間を短縮したり,プロテアーゼの活性を抑える効果がある.

出典 朝倉書店栄養・生化学辞典について 情報

世界大百科事典 第2版の解説

かさんかベンゾイル【過酸化ベンゾイル benzoyl peroxide】

過酸化ジベンゾイルともいう。無色の結晶。融点105℃。塩化ベンゾイルをアルカリの存在下で過酸化ナトリウム,または過酸化水素と反応させて合成する。エーテル,エチルアルコールなどに微溶,ベンゼン,アセトンなどに可溶,水に不溶。加熱すると110℃で爆発する。溶液中で温めると徐々に分解し,C6H5COO-,C6H5-などの遊離基を生成する。したがって遊離基源としてしばしば用いられ,ポリスチレン,ポリメタクリル酸メチル,ポリアクリロニトリルなど高分子化合物製造の重合開始剤として利用される。

出典 株式会社日立ソリューションズ・クリエイト世界大百科事典 第2版について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

過酸化ベンゾイル
かさんかべんぞいる
benzoyl peroxide

有機過酸化物の一つで、いわゆる過酸化物結合、すなわちO‐O結合に、2個のベンゾイル基が結合したもの。正しくは過酸化ジベンゾイルdibenzoyl peroxideであるが、慣用的にこのようによばれる。塩化ベンゾイルと過酸化水素からアルカリ存在下で製造する。白色結晶で、結晶のままあるいは濃い溶液を加熱すると急速に分解して爆発する。水に溶けず、アルコールにも溶けにくいが、クロロホルムやジクロロメタンにはよく溶ける。この薄い溶液を加熱すると活性の高いフリーラジカルを発生するので、スチレンや酢酸ビニルなどのビニル単量体のラジカル重合の開始剤として、プラスチック工業で広く用いられる。
 過酸化ベンゾイルを分解すると、まず過酸化物結合が開裂して、ラジカル(C6H5)2C(=O)Oが2個生成し、これらはたとえばビニル単量体に付加するが、その過程で競争して、このラジカルはさらに二酸化炭素を放出、分解して、フェニラジカルC6H5を生成する。前者のラジカルはその800ナノメートル付近の近赤外部における過渡吸収(短寿命の化学種が短い寿命の間に示す吸収)と電子スピン共鳴により、後者のラジカルは電子スピン共鳴により観測することができる。
 過安息香酸(ペルオキシ安息香酸)は過酸化ベンゾイルから得られる過酸化物で、過酸化水素の1個の水素原子をベンゾイル基で置換した構造である。酸化力に富み、アルケンに酸素原子1個を与えてエポキシド(オキシラン)とする。吸湿性に富み、特有の刺激臭を呈する。試薬としては扱いやすく安定な3-クロロ過安息香酸あるいはm-クロロ過安息香酸が利用される。合成反応や二重結合の定量に用いられる。結晶のまま、あるいは濃い溶液を加熱すると分解する。多くの有機溶媒に溶ける。なおエポキシドは反応性に富み、各種合成中間体に利用される。[徳丸克己]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

世界大百科事典内の過酸化ベンゾイルの言及

【重合】より

…重合開始剤は適当な条件(温度など)において反応性のきわめて高い中間体を与えることのできる化合物であり,代表的なものは分解してラジカル(フリーラジカル,遊離基)を生じるラジカル開始剤である。よく用いられるラジカル開始剤のタイプに,過酸化物(過酸化ベンゾイルなど)とアゾ化合物(アゾビスイソブチロニトリルなど)がある。たとえばアゾビスイソブチロニトリルの場合,加熱すると次のように分解してラジカルを生成する。…

【食品漂白剤】より

…漂白剤には,色素を酸化して漂白する酸化型のものと,還元して漂白する還元型のものがある。前者には亜塩素酸ナトリウム,過酸化ベンゾイルなどが,後者には亜硫酸ナトリウム,亜硫酸水素ナトリウム,次亜硫酸ナトリウムなどがある。このうち,亜硫酸の還元力を利用するものが最も広く用いられており,こんにゃく粉,干しアンズ,干しスモモ,干しパイナップル,果実酒,水あめ,天然果汁,エビのむき身などに用いられている。…

※「過酸化ベンゾイル」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社日立ソリューションズ・クリエイト世界大百科事典 第2版について | 情報

過酸化ベンゾイルの関連キーワード過酸化ベンゾイル(データノート1)過酸化ベンゾイル(データノート2)不飽和ポリエステル樹脂塗料不飽和ポリエステル樹脂エチルアルコール過酸化ナトリウムコムギ粉改良剤ポリエチレンフッ素樹脂過安息香酸エーテル黒にきび赤にきびアセトン黄にきびベンゼン白にきび不溶可溶

今日のキーワード

跋扈

[名](スル)《「後漢書」崔駰伝から。「跋」は越える意、「扈」は竹やな》魚がかごを越えて跳ねること。転じて、ほしいままに振る舞うこと。また、のさばり、はびこること。「軍閥の跋扈」「悪辣な商売が跋扈する...

続きを読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android

過酸化ベンゾイルの関連情報