ラジカル(英語表記)radical

翻訳|radical

デジタル大辞泉 「ラジカル」の意味・読み・例文・類語

ラジカル(radical)

《「ラディカル」とも》
[名]化学で、遊離基ゆうりきフリーラジカル。また、
[形動]
過激なさま。極端なさま。急進的なさま。「ラジカルな考え」「ラジカル意見
根本的。根源的。「ラジカル原理
[類語](1過激ドラスティック激しいすさまじい強烈猛烈激烈熾烈しれつ苛烈かれつ激甚急激峻烈しゅんれつ激越矯激きょうげきファナティック先鋭烈烈痛烈辛辣シビア鮮烈凄烈凄絶壮烈壮絶悲壮強いきついどぎついひどい手ひどいすごいものすごい厳しい手厳しいはなはだしい桁外れ桁違い並外れ格段著しい厳格厳重厳酷厳正冷厳峻厳しゅんげん苛酷鋭いこっぴどい強力強大無敵最強力強い手強い荒荒しい荒っぽい大荒れ猛然荒らか威烈猛に

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精選版 日本国語大辞典 「ラジカル」の意味・読み・例文・類語

ラジカル

  1. [ 1 ] 〘 形容動詞ナリ活用 〙 ( [英語] radical )
    1. 急進的なさま。過激なさま。極端なさま。
      1. [初出の実例]「君は極端に走り過ぎて、兎角ラヂカル〔過激〕になるから困るテ」(出典:当世書生気質(1885‐86)〈坪内逍遙〉一七)
    2. 根本的であるさま。
      1. [初出の実例]「しかるに最もラジカルであるべき哲学の領域においては」(出典:生存理由としての哲学(1933)〈三木清〉)
  2. [ 2 ]ゆうりき(遊離基)

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ラジカル」の意味・わかりやすい解説

ラジカル
らじかる
radical

フリーラジカルあるいは遊離基ともいう。たとえば、塩素分子高温加熱あるいは光を照射すると、2個の塩素原子の間の結合が均等に開裂して2個の塩素原子を生じる。これは、結合にあずからない電子、対をつくっていない活性な電子である不対電子を有する。これと同様に多くの多原子分子でもそのなかの二つの原子を結ぶ結合(σ(シグマ)結合)が開裂して不対電子をもつ二つの化学種を生ずる。このような不対電子を有する多原子分子種をラジカルという。なお古くは、原子団を示すためにラジカル(根)という語が用いられたが、現在はこの意味では用いられない。

 四酸化二窒素N2O4は低温では無色であるが、常温では褐色の気体として存在する。これは、N2O4の二つの窒素原子間の結合が開裂して、ラジカルである二酸化一窒素NO2を生ずるためで、これは低温ではふたたび会合してN2O4を生ずる。


一酸化一窒素NOもラジカルの一つである。

 最初に発見された有機化合物のラジカルはアメリカ(ロシア生まれ)のゴンバークMoses Gomberg(1866―1947)により1900年に報告されたトリフェニルメチル(C6H5)3C・である。塩化トリフェニルメチル(C6H5)3C-Clを乾燥したベンゼン中銀粉や亜鉛末と空気のないところで処理すると黄褐色を呈し、これはトリフェニルメチルラジカルの生成に基づく。ただし、このラジカルはラジカルどうしで会合して二量体の分子を生成するので、純粋な物質としては単離できない。しかし、2,2-ジフェニル-1-ピクリルヒドラジル(略称DPPH)や4,4'-ジメトキシジフェニルニトロキシドなどは純粋なラジカルとして得られる。ラジカルは自動酸化や光化学反応など各種の反応の中間体として存在する。

 ラジカルは不対電子をもつために一般に反応性が高く、一般に短時間しか存在しえない不安定な化学種である。しかし今日では、これを電子スピン共鳴(略称ESR)や過渡吸収(反応の過程等で過渡的に生成する短寿命の化学種の示す吸収)の測定により検出確認し、その化学的な反応を追跡することが可能である。1個のラジカルは磁性をもつので、多数のラジカルを整列させることができると、鉄のような強磁性を示す。このようなラジカルの例が日本で研究されたニトロニルニトロキシドである。


[徳丸克己]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ラジカル」の意味・わかりやすい解説

ラジカル
radical

数学用語で,根基のこと。において ababab とおいて乗法ab)→ab を定義したとき,この乗法に関する逆元を準逆元といい,準逆元をもつ元を準可逆元という。任意の環において準可逆元だけからなるイデアルうち最大のものが存在する。これを根基と呼ぶ。またべき零元だけからなるイデアルのうちにも最大のものが存在する。それをべき零根基というが,単に根基ということもある。

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改訂新版 世界大百科事典 「ラジカル」の意味・わかりやすい解説

ラジカル
radical

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化学辞典 第2版 「ラジカル」の解説

ラジカル
ラジカル
radical

[同義異語]遊離基

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

栄養・生化学辞典 「ラジカル」の解説

ラジカル

 →遊離基

出典 朝倉書店栄養・生化学辞典について 情報

世界大百科事典(旧版)内のラジカルの言及

【化学反応】より

…たとえば反応, HCl+KOH―→KCl+H2Oでは,次の一連の変化, HCl―→H+Cl,KOH―→K+OH, H+OH―→H2Oが起こっており,HClは酸,KOHが塩基で,この型の反応を中和反応という。 無機化合物ではイオンの関与する反応が多いが,有機化合物ではイオン反応もラジカル反応も起こる。これは反応に関与する化学結合の開裂のしかたによるもので,化学結合をつくる電子対が一方によって開裂する場合(ホモリシス)はイオン反応となり,電子対が一つずつの電子に分かれ開裂する場合(ヘテロリシス)はラジカル反応となる。…

【遊離基】より

…フリーラジカルfree radicalまたは略してラジカルradicalともいう。通常の分子は偶数個の電子をもち,これらが対をつくっているが,遊離基には全体として奇数個の電子が含まれ,対になっていない電子(不対電子。…

※「ラジカル」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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