郷土芸術(読み)キョウドゲイジュツ

デジタル大辞泉 「郷土芸術」の意味・読み・例文・類語

きょうど‐げいじゅつ〔キヤウド‐〕【郷土芸術】

ある地方に伝わる特有の民謡舞踊玩具工芸品などの総称
1900年頃ドイツで唱えられた芸術上の主張。芸術は、そこの土地・人物・事件を反映するものでなくてはならないとするもの。

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精選版 日本国語大辞典 「郷土芸術」の意味・読み・例文・類語

きょうど‐げいじゅつキャウド‥【郷土芸術】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 地方特有の風土風物情緒、習慣等を表現した芸術。民謡、舞踊、祭礼装飾、建築装飾、玩具、各種工芸品などの類。民芸。
    1. [初出の実例]「こんな物こそむづかしく云ふと大阪の郷土芸術なんだから」(出典:蓼喰ふ虫(1928‐29)〈谷崎潤一郎〉三)
  3. 一九〇〇年頃ドイツでいわれた芸術上の主張。芸術の都会偏重に対する反動として起こり、芸術は、作者郷土から生み出され、そこの土地、人物、事件を反映するものでなければならないとするもの。
    1. [初出の実例]「白耳義(ベルヂック)のロオダンバツクが悲しいブリュウジュの田舎町に濺(そそ)いだ熱情文字などは却て郷土芸術の二つとない手本であらうと云って」(出典冷笑(1909‐10)〈永井荷風一二)

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世界大百科事典(旧版)内の郷土芸術の言及

【民俗芸能】より

…民族それぞれの社会生活の中で,住民みずからが演者となって伝承してきたきわめて地域性の濃い演劇,舞踊,音楽の類をいう。いずれも,地域の生活・風土と結びついて伝承されるものだけに郷土色が濃く,そのため日本では郷土芸能,郷土芸術などと呼ばれる。この種の芸能は世界のどの民族にも存在するが,欧米のような,墨守よりも創造に情熱をかける国々では,いわゆるフォークダンスのようなものも自由に編作・創作の手が加えられて,昔ながらの伝統を残すものが少なくなっている。…

※「郷土芸術」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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