酒船石(読み)サカフネイシ

デジタル大辞泉 「酒船石」の意味・読み・例文・類語

さかふね‐いし【酒船石】

奈良県高市郡明日香村の丘陵上にある巨石。長さ5.3メートル、最大幅2.3メートル、厚さ1メートルの花崗岩かこうがんで、上面数個円形のくぼみとそれらを結ぶ溝がある。古代の醸造施設とする説もあるが不明。

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精選版 日本国語大辞典 「酒船石」の意味・読み・例文・類語

さかふね‐いし【酒船石】

  1. 奈良県高市(たかいち)郡明日香村にある花崗岩の巨石。長さ五・三メートル、最大幅二・三メートル、厚さ一メートルで、上面に四つのくぼみがあり溝でつながっている。園池で用いられたものといわれる。

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日本歴史地名大系 「酒船石」の解説

酒船石
さかふねいし

[現在地名]明日香村大字岡

おかから大字飛鳥に通ずる里道のすぐ東の丘上にある。石は長さ約五・三メートル、最大幅約二・三メートル、厚さ約一メートルの扁平な花崗岩。長軸を東西に向け、石の西端に近い底部には径〇・七八メートル、長さ約一・五メートルの台石があり、石の頂面は平滑で、円形の各凹所を結ぶ溝を彫刻んでいる。石の一部には高取築城の時、石矢をもって割取られた形跡があり、持去られたともいわれるが明確なことはわからない。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「酒船石」の意味・わかりやすい解説

酒船石
さかふねいし

奈良県高市(たかいち)郡明日香(あすか)村岡にある2組の花崗岩(かこうがん)製の導水石。本居宣長(もとおりのりなが)らは醸造施設と解釈し、酒船石と名づけた。飛鳥寺(あすかでら)南東丘陵上の岡の酒船石は、長さ5.3メートル、最大幅2.3メートル、厚さ1メートル、円形窪(くぼ)を直線溝で樹系図状に結ぶ。この南東斜面より16個の車石とよぶ付属の導水石が出土している。また、現地にはないが、ここから数百メートル西の飛鳥川東岸出水(でみず)からも西洋ナシ形の石と溝を組み合わせた酒船石が出土した。出土位置からみると、飛鳥板蓋宮(いたぶきのみや)推定地にかかわる一連饗宴(きょうえん)用の導水施設である。

[猪熊兼勝]

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世界大百科事典(旧版)内の酒船石の言及

【飛鳥の石造物】より

…奈良県明日香村を中心とし,高取町,橿原市のいわゆる〈飛鳥〉に点在する奇怪な形をした約20個の石造物。仏教美術とは異質にみえ,用途が明らかでないため,〈謎の石〉と呼ばれるが,姿・形から,猿石,人頭石,石人像,亀石,酒舟石,須弥山(しゆみせん)石,益田岩船,立石などと名付けられてきた。例えば〈酒舟石〉は巨石の上面を滑らかにし,円形のくぼみを細長の溝で樹系図状に結んだもので,西の丘陵下に向かって傾斜する。…

※「酒船石」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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