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陶磁器の加飾技法の一つで、日本では辰砂(しんしゃ)ともいう。透明釉の釉裏、すなわち素地(きじ)面と釉(うわぐすり)との間に描かれた銅の顔料による下絵が、還元炎で紅色に呈色することから、中国で釉裏紅とよぶ。この加飾法は中国湖南省の長沙(ちょうさ)窯において晩唐9世紀に開発されたが、一時とだえ、元代の14世紀になって江南の景徳鎮(けいとくちん)窯が白磁胎釉裏紅技法をくふうして定着した。その初期の資料として、至治3年(1323)銘の木簡を伴う釉裏紅磁が、韓国新安沖に沈む元船から引き上げられている。景徳鎮窯は以後、釉裏紅を重要な技法の一つに加えて今日に至っている。朝鮮半島では高麗(こうらい)時代に青磁に併用され、李朝(りちょう)の18世紀にも盛行した。日本では江戸時代の17世紀に伊万里(いまり)焼がわずかながら試みているが、焼造量は少なく、遺品も希少である。
[矢部良明]
『『世界陶磁全集13 遼・金・元』(1981・小学館)』
…しかし14世紀のごく早い時期に,染付がつくられていたことは明らかである。コバルトを呈色材とした染付とともに,元代には銅を呈色材とした釉裏紅もつくり出され,あずき色の紅釉で絵付を行った磁器は独特のやきものである。中国国内ではこうした染付,釉裏紅は,日常の器皿とともに道教寺院の祭具としても用いられたが,インド,イラン,トルコなどのイスラム世界に貿易陶磁として大量に輸出され,イランのサファビー朝の故地であるアルダビールやオスマン・トルコのトプカプ宮殿に元染付の優品が多く将来され伝世している。…
※「釉裏紅」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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