重の井子別れ(読み)シゲノイコワカレ

デジタル大辞泉 「重の井子別れ」の意味・読み・例文・類語

しげのいこわかれ〔しげのゐこわかれ〕【重の井子別れ】

浄瑠璃恋女房染分手綱」10段目の通称重の井とその子三吉主家への義理から親子の名のりができずに別れる。

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精選版 日本国語大辞典 「重の井子別れ」の意味・読み・例文・類語

しげのいこわかれしげのゐ‥【重の井子別れ】

  1. 浄瑠璃「恋女房染分手綱(こいにょうぼうそめわけたづな)」十段目の通称。丹波由留木(ゆるぎ)家の息女調姫(しらべひめ)の乳人重の井は、姫が養女となって東国に下る時、別れた夫伊達の与作との間の子三吉に会うが、役目の手前親子の名乗りをせずに別れる場面。近松門左衛門作「丹波与作待夜小室節(たんばよさくまつよのこむろぶし)上巻にもとづく。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「重の井子別れ」の意味・わかりやすい解説

重の井子別れ
しげのいこわかれ

人形浄瑠璃恋女房染分手綱 (こいにょうぼうそめわけたづな) 』全 13段中の 10段目の名称,および全段の俗称。丹波国の城主由留木 (ゆるぎ) 家の息女調姫 (しらべひめ) は,幼くして関東の入間 (いるま) 家に養女に行く道中,関でむずかり,乳人 (めのと) 重の井をはじめ供の者を困らす。そこへ馬子の自然生 (じねんじょ) の三吉が呼ばれ,道中双六などで姫の機嫌を直す。実は三吉は重の井と家老の子息与作とのお家御法度 (ごはっと) の不義の子で,与作は家を追放され,いまは関で馬方をしている。重の井は母を慕い寄る子を,お家の名誉を思ってわが子と認めずに返す。封建制度に縛られた母と,大人びたなかにいじらしさをもつ子の間の情愛描写が好まれ,初演後この段だけでしばしば上演されている。歌舞伎化は同年江戸中村座。その後改作として『男重の井』『けいせい重の井』などの趣向が生れた。

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歌舞伎・浄瑠璃外題よみかた辞典 「重の井子別れ」の解説

重の井子別れ
(通称)
しげのい こわかれ

歌舞伎・浄瑠璃の外題
元の外題
恋女房染分手綱
初演
宝暦1.10(大坂・中村十蔵座)

重の井子別れ
しげのい こわかれ

歌舞伎・浄瑠璃の外題。
初演
明治27.5(東京・新市村座)

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「重の井子別れ」の意味・わかりやすい解説

重の井子別れ
しげのいこわかれ

恋女房染分手綱

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世界大百科事典(旧版)内の重の井子別れの言及

【丹波与作待夜の小室節】より

…《落葉集》などに所収の歌謡や古浄瑠璃,歌舞伎で人々に知られた丹波与作を主人公とするが,筋立ては近松の創作になる。母と名のれぬ滋野井の苦衷や,母をしたう三吉のいたいけな感情が描かれる序幕がすぐれており,《恋女房染分手綱》(1751)の中に〈重の井子別れ〉としてまるごと採り入れられ,現在もたびたび上演される。それにくらべ,与作は先行作のイメージによりかかったためか,十分に描かれているとはいいがたい。…

※「重の井子別れ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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