野口冨士男(読み)ノグチフジオ

デジタル大辞泉 「野口冨士男」の意味・読み・例文・類語

のぐち‐ふじお〔‐ふじを〕【野口冨士男】

[1911~1993]小説家東京の生まれ。本姓、平井。昭和15年(1940)小説風の系譜」を発表。その後、徳田秋声に傾倒し、評伝徳田秋声伝」で毎日芸術賞受賞。他に小説「なぎの葉考」「かくてありけり」など。芸術院会員。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「野口冨士男」の意味・わかりやすい解説

野口冨士男
のぐちふじお
(1911―1993)

小説家。東京生まれ。慶応義塾大学文学部中退後、文化学院に学ぶ。1933年(昭和8)紀伊國屋(きのくにや)出版部に入る。のち徳田秋声の「あらくれ会」に参加。40年、都会の庶民生活の哀歓を精緻(せいち)に描いた第一創作集『風の系譜』を刊行し評判を得た。引き続き同系列の『眷属(けんぞく)』を刊行。戦後は徳田秋声を考証的に研究し、『徳田秋声伝』(1965)により毎日出版文化賞を受賞。秋声研究はほかに『徳田秋声ノート』『徳田秋声の文学』がある。またエッセイ『わが荷風』(1975)で読売文学賞自伝小説『かくてありけり』(1978)で読売文学賞、短編小説なぎの葉考』(1980)で川端康成(やすなり)文学賞を受賞。ほかに『暗い夜の私』『散るを別れと』『風のない日々』などの小説がある。

[栗坪良樹]

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デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「野口冨士男」の解説

野口冨士男 のぐち-ふじお

1911-1993 昭和-平成時代の小説家。
明治44年7月4日生まれ。徳田秋声に師事。昭和15年「風の系譜」を発表,都会の庶民生活の哀歓をえがいて評価された。戦後の41年「徳田秋声伝」で毎日芸術賞,51年「わが荷風」で,54年自伝的小説「かくてありけり」で読売文学賞をうけるなど,受賞多数。芸術院会員。平成5年11月22日死去。82歳。東京出身。文化学院卒。本名は平井冨士男。

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