金成マツ(読み)かんなりまつ

日本大百科全書(ニッポニカ) 「金成マツ」の意味・わかりやすい解説

金成マツ
かんなりまつ
(1875―1961)

アイヌの詞曲ユーカラの伝承者。北海道幌別(ほろべつ)郡幌別村(現登別(のぼりべつ)市)生まれ。戸籍名は「广知」、アイヌ名「イメカノ」。函館(はこだて)のキリスト教伝道師を養成する愛隣学校に学び、平取(びらとり)町などで布教活動を行い生涯独身を通した。旭川(あさひかわ)市近文では伝道に従いながら、妹ナミの娘知里幸恵(ちりゆきえ)(『アイヌ神謡集』の著者)を引き取って進学させた。継承していたユーカラを約160冊のノートにローマ字で筆録して、金田一(きんだいち)京助と幸恵の弟知里真志保(ましほ)に残し、その一部が『アイヌ叙事詩ユーカラ集』として出版された。1956年(昭和31)紫綬褒章(しじゅほうしょう)を受章

[萩中美枝]

『金成まつ筆録、金田一京助訳注『アイヌ叙事詩ユーカラ集』全7巻(1959~66・三省堂)』

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