大正期のアイヌ文化伝承者
出典 日外アソシエーツ「20世紀日本人名事典」(2004年刊)20世紀日本人名事典について 情報
『アイヌ神謡集』の著者。北海道幌別(ほろべつ)郡登別(のぼりべつ)村(現、登別市)の生まれ。農・牧畜業の父高吉、母ナミの長女。金田一京助のアイヌ研究にユーカラのローマ字筆録で協力した金成(かんなり)マツは母方の伯母。また『分類アイヌ語辞典・植物篇(へん)』などの著者知里真志保(ましほ)は弟。幼時から旭川(あさひかわ)市近文(ちかぶみ)で聖公会の伝道師として布教活動をしていたマツのもとで育てられた。1918年(大正7)アイヌ語採集で来訪した金田一は彼女の才をみいだし、母方の祖母モナシノウクから伝えられた神謡の筆録と和訳を勧める。彼女の死の翌1923年に発行された『アイヌ神謡集』には13編の神謡が収められており、アイヌ語のローマ字表記の正確さと和訳の美しさに定評がある。
[藤本英夫]
『『アイヌ神謡集』(岩波文庫)』▽『知里幸恵遺稿集『銀のしずく』(1984・草風館)』▽『藤本英夫著『銀のしずく降る降る』(1973・新潮選書)』
(竹ヶ原幸朗)
出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報
出典 日外アソシエーツ「367日誕生日大事典」367日誕生日大事典について 情報
…1956年紫綬褒章を受章。終生独身であったが,旭川の近文(ちかぶみ)では母の妹ナミの娘,知里幸恵(1903‐22,真志保の姉)を引き取り,進学させている。幸恵もモナシノウクのユーカラを受け継ぎ,《アイヌ神謡集》(1923)をまとめたが,その校正中に19歳で死去した。…
…アイヌ民族出身の言語学者,民俗学者。アイヌの叙事詩ユーカラの伝承者として有名な金成(かんなり)マツをおばとし,《アイヌ神謡集》(1923)の知里幸恵(ゆきえ)を姉として,現在の北海道登別市に生まれた。金田一(きんだいち)京助の文法を出発点としながら独自のアイヌ語文法体系を構築し,またJ.バチェラーや永田方正など先人のアイヌ語,地名研究を鋭く批判した。…
※「知里幸恵」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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