精選版 日本国語大辞典 「金本位制」の意味・読み・例文・類語
きんほんい‐せいキンホンヰ‥【金本位制】
- 〘 名詞 〙 「きんほんいせいど(金本位制度)」の略。
- [初出の実例]「金本位制の今日に於て実行せざるべからざる理由を」(出典:日本‐明治三〇年(1897)二月一七日)
中央銀行の発行する基礎貨幣と一定量の金とが等価関係にあって,相互の交換が自由に行われることを保証する通貨制度。外国為替相場を安定させ,また国際収支を自動的に調整する機能を持つ。これを金本位制の自動調節作用という。1816年イギリスが1ポンド金貨の鋳造を始め,世界最初の金本位制をとる国となった。44年には,イングランド銀行が金と交換可能なポンド表示の兌換(だかん)紙幣を発行し,19世紀末にはロンドンを中心とする国際金本位制が確立した。金1オンス(約31グラム)を3ポンド17シリング10ペンス半とする金価格が保持された。第一次世界大戦直前の1914年に一時停止したが,25年にイギリスをはじめ各国で金本位制への復帰が進んだ。しかし,金保有高の増減に合わせた通貨の増発,収縮はもはや行われず,国内経済の均衡を重んじた管理通貨制度がとられるようになった。世界恐慌のもとで,31年イギリスは金本位制から完全に離脱した。
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金を本位貨幣とする貨幣制度。明治初年に金本位か銀本位かの論議があり,世界の大勢に従って1871年(明治4)の新貨条例は金量目4分(1.5g)を1円とする金本位制を採用したが,貿易用の銀貨流通をも認めたので実際上は金銀複本位制であった。金本位制実施の難点は,金準備の不足であったが,これは日清戦争で得た賠償金2億3150万テール(邦貨換算約3億6000万円)によって解消した。97年の貨幣法は金量目2分を1円と規定し金本位制が確立された。ただし当分の間,銀も準備高に加えるという変則的なものであったが,これによって日本の経済制度も先進国と対等の関係に立つこととなった。第2次大戦中の1942年(昭和17)の日本銀行法によって廃止された。
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