貨幣経済の発達した今日においては,租税の支払は金銭の形態で行われるが,過去においては貨幣以外の物の形での税の納付も一般的であった。貨幣以外の物の形で税を支払うことを税の物納という。比較的最近では,江戸時代の米納が物納の例としてあげられるが,明治時代にはいり金納に代わり今日にいたっている。
日本では今日,物納の認められているのは相続税のみである(相続税法41条)。物納は一種の代物弁済であり,相続税の場合には,物納の許可は,相続税を金銭で納付することを困難とする事由があった場合に,納税者の申請に基づき,納付を困難とする限度において与えられる。物納にあてることのできる財産は,国債,地方債,社債,株式,不動産その他一定の財産に限られる。物納財産の収納価額は,原則として,相続税の課税価格計算の基礎となった当該財産の価額による。
執筆者:林 正寿
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
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