釘抜き(読み)クギヌキ

デジタル大辞泉 「釘抜き」の意味・読み・例文・類語

くぎ‐ぬき【×釘抜き】

打ち込んだ釘を抜き取るための道具
紋所の名。釘抜き、またはそれを組み合わせた形を図案化したもの。違い釘抜き・丸に釘抜きなど。

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精選版 日本国語大辞典 「釘抜き」の意味・読み・例文・類語

くぎ‐ぬき【釘貫・釘抜】

  1. 〘 名詞 〙
  2. [ 一 ] ( 釘貫 )
    1. 鳥居の左右や、墓の周囲にある簡単な柵(さく)。低い角柱に貫を二、三本通したもの。
      1. [初出の実例]「同門西釘貫内北面東上内侍已下座」(出典:延喜式(927)三八)
      2. 「関屋どもあまたありて、海までくぎぬきしたり」(出典:更級日記(1059頃))
    2. くぎぬきもん(釘貫門)」の略。
      1. [初出の実例]「依之陣辺被釘貫、公武御用心云々」(出典:師郷記‐文安元年(1444)四月三〇日)
  3. [ 二 ] ( 釘抜 )
    1. 打ちつけた釘を抜き取る道具。形は鋏(はさみ)に似て頭は毛抜きのようになっている和釘用のものや、直角に曲げた鉄棒の先端を薄く伸ばして切れ目を入れ、釘の頭をそこに引っかけて、てこ原理で抜くようになっている洋釘用のものなどがある。
      1. 釘抜<b>[ 二 ]</b><b>①</b>〈和漢三才図会〉
        釘抜[ 二 ]〈和漢三才図会〉
      2. [初出の実例]「釘抜の寄り合ひて、大きなる釘をも安く抜くが如し」(出典:梵舜本沙石集(1283)二)
    2. 紋所の名。釘抜の形を図案化したもので、釘抜、違い釘抜、釘抜に閂(かんぬき)、丸に釘抜などがある。多く、中間、奴などのはっぴ、半纏などに用いた。
      1. 釘抜@釘抜に閂@違い釘抜@丸に釘抜
        釘抜@釘抜に閂@違い釘抜@丸に釘抜
      2. [初出の実例]「三上大明神の御紋、面の釘貫◇如此」(出典:本福寺跡書(1560頃))
      3. 「次に奴二人、袷看板、釘抜きの紋附き」(出典:歌舞伎・三賀荘曾我島台(1821)大詰)
    3. ( [ 二 ]から転じて ) 「ちゅうげん(中間)」の異称
      1. [初出の実例]「釘ぬきとまんぢうつんでこぎ出し」(出典:雑俳・柳多留‐一二(1777))

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「釘抜き」の意味・わかりやすい解説

釘抜き
くぎぬき

てこの原理を応用して、釘の頭をくわえて引き抜く道具。和釘用と洋釘用がある。和釘用の釘抜きを「えんま」という。和釘は全体を平らにたたき伸ばしたもので、頭の部分は折り曲げただけで薄い。和釘は引っ掛けて抜くことができないために、釘の本体をくわえて抜かなければならない。そのため、釘抜きのくわえる部分が湾曲した鋏(はさみ)のような形になっており、刃口は付け鋼になっている。絵画で見られる地獄の閻魔(えんま)大王が、罪人の舌を抜くときに使用されることからこの名がついた。

 洋釘用の釘抜きには、「かじや」、バールがある。かじやは、直角に曲げた鉄棒の両端を薄く伸ばし、釘を挟むように二つに割ってある。その割れ目に釘の頭を引っ掛けて、てこの原理で釘を抜くようになっている。

 バールは、直角に曲げた鉄棒の片方が釘を挟み込むように二つに割られており、その割れ目に釘の頭を引っ掛けて、てこの原理で釘を抜く。もう一方は平らに伸ばしている。平らに伸ばした部分は、釘留めされた部材の間に差し込んで部材を剥がすなど、解体するときにも使われる。釘が長く抜きにくいときは、直角に曲がった部分の下に当て木をしたりして使う。

[赤尾建蔵 2021年7月16日]


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