鎌倉末期の武士。高綱(法名円喜)の子。父の跡を継ぎ,得宗被官(とくそうひかん)(御内人(みうちびと))として内管領(うちかんれい)の地位を得,専横政治を展開した。1322年(元亨2)に陸奥安東氏の内紛が起こると,対立する両勢力から賄賂をとって乱を長引かせるなど,その政治姿勢は御家人の不信不満を増長させた。そのため公家側に討幕の機会を与える結果を招き,24年(正中1)には正中(しようちゆう)の変が起こっている。26年(嘉暦1)病により執権北条高時が出家すると,専断で金沢貞顕(かねさわさだあき)を執権に据えたが,反対の動きが強く貞顕は就職後10余日で出家。ついで赤橋守時(あかはしもりとき)が執権となるが,これも〈高資が僻事(ひがごと)〉(《保暦間記》)であったという。33年5月新田義貞の鎌倉攻めで自害した。
執筆者:飯田 悠紀子
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鎌倉末期の得宗(とくそう)被官。長崎高綱(円喜)の子。通称新左衛門尉(しんざえもんのじょう)。第14代執権北条高時(ほうじょうたかとき)のとき父の後を継いで内管領(うちかんれい)の要職につき、のちには評定衆(ひょうじょうしゅう)の一員ともなって権勢を振るった。1326年(嘉暦1)高時が出家するとその後に金沢貞顕(かねさわさだあき)を推挙したが、高時の弟泰家(やすいえ)らの猛反対にあった。結局赤橋(あかはし)(北条)守時(もりとき)が執権に、大仏維貞(おさらぎこれさだ)が連署(れんしょ)に就任して事は収まったが、これも高資の人事といわれている。また正中(しょうちゅう)・元弘(げんこう)の変のときは後醍醐(ごだいご)天皇に対して強硬な処置を主張したため、高時による高資討伐が計画されたほどであった。1333年(元弘3・正慶2)新田義貞(にったよしさだ)の鎌倉攻めに敗れて自殺した。
[黒田弘子]
(福島金治)
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?~1333.5.22
鎌倉後期の武士。北条氏得宗家の被官。高綱の子。1317年(文保元)頃,父高綱から内管領(ないかんれい)の地位を継いで幕政の実権を握る。22年(元亨2)頃,奥州安藤氏の内紛に際し,当事者双方から賄賂をとって紛争の激化を招き,幕府の権威を低下させた。26年(嘉暦元)出家した執権北条高時の後任に金沢(かねざわ)貞顕をすえるが,高時の弟泰家らの反対にあい貞顕はまもなく辞職。31年(元弘元)高資の専横を憎む得宗高時はその殺害をはかるが,計画が露見するとみずからの関与を否定し処分を免れた。高資に対しては得宗すら無力だった。33年新田義貞に鎌倉を攻略され,北条氏一門や一族とともに東勝寺で自害。
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…ないかんれいともいう。鎌倉時代,執権を独占した北条氏の家督である得宗家の家人は御内人(みうちびと)とよばれたが,御内人の筆頭が内管領である。御内人は北条義時・泰時のころより育成され,やがて御家人の勢力をもしのぐようになった。内管領はこの御内人の勢力を背景に,経済的には広大な得宗領を基礎として勢威を振るった。はじめて内管領とよばれた平頼綱は,得宗貞時の乳母の夫として貞時を養育した関係もあって,大きな力を幕政に及ぼし,1285年(弘安8)には政敵の安達泰盛を倒して,10年にわたって幕府の実権を握った。…
…鎌倉時代の北条氏嫡流(得宗)の有力被官家。桓武平氏。北条泰時の被官関実忠の弟平盛綱が長崎を称したのにはじまる。盛綱は1234年(文暦1)尾藤景綱のあとをうけて北条泰時の家令となり,経時・時頼にも仕えた。その子頼綱は続く時宗・貞時の家令としてその権勢を極め,85年(弘安8)には幕府御家人の最有力者安達泰盛を謀殺(弘安合戦)。しかしその専権は長くは続かず,93年(永仁1)貞時の攻撃をうけて一党は没落(平禅門の乱),かわって頼綱の弟(一説には甥)長崎光綱の子孫が台頭した。…
…同10月父の死により内管領長崎円喜と安達時顕に補佐され9歳で得宗の座につくが,頻々と執権が交代し政治不安は増大した。16年(正和5)14歳で執権となるが,実権は得宗の専制権力を背景とする内管領長崎高資(円喜の子)が掌握,失政が続いた。24年(正中1)幕府は後醍醐天皇の討幕計画を未然に抑えたが(正中の変),激化する海賊・悪党の跳梁,蝦夷の蜂起,さらに泥沼化する内紛は幕府を弱めた。…
※「長崎高資」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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