長百姓(読み)おさびゃくしょう

精選版 日本国語大辞典 「長百姓」の意味・読み・例文・類語

おさ‐びゃくしょう をさビャクシャウ【長百姓】

〘名〙
江戸時代村役人組頭(くみがしら)異称
地方凡例録(1794)七「村役人ととなえの儀、〈略〉庄屋百姓と云所もあり」
② 江戸時代の農村で、有力な百姓の総称。収穫高の多い家、村の創設以来の旧家、零落していても頭立った家など。
※地方凡例録(1794)七「重立たる農夫を長百姓と唱、村役人にてはなし」

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デジタル大辞泉 「長百姓」の意味・読み・例文・類語

おさ‐びゃくしょう〔をさビヤクシヤウ〕【長百姓】

乙名百姓おとなびゃくしょう」に同じ。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「長百姓」の意味・わかりやすい解説

長百姓
おとなびゃくしょう

「おさびゃくしょう」ともいう。一般には江戸時代,村落上層の有力な農民。単なる大高持の農民をさすのではなく,新村落の開発に功のあった草分百姓のような,村と特に関係の深い農民をさすことが多い。彼らは村内で種々の特権をもち,村政を左右した。そのほか村役人の地方的な呼称として,秋田藩の例では「組頭」「百姓代」の両性質を併有する村役人を,大高持,草分百姓から選んで「長百姓」または「老名百姓」と呼び,また前橋藩高田藩福井藩松代藩松本藩などで幕領地方三役 (じかたさんやく) 中の「組頭」「百姓代」に相当する村役人を「長百姓」あるいは年寄などと称したような例が少くない。

長百姓
おさびゃくしょう

長百姓」のページをご覧ください。

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旺文社日本史事典 三訂版 「長百姓」の解説

長百姓
おさびゃくしょう

江戸時代の有力百姓
おとな百姓・ちょう百姓ともいう。近世村落内の上層農民で,名主 (なぬし) ・庄屋 (しようや) はこの層から選出された。

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百科事典マイペディア 「長百姓」の意味・わかりやすい解説

長百姓【おさひゃくしょう】

村方三役

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世界大百科事典(旧版)内の長百姓の言及

【組頭】より

…組頭の任免は領主の役所に届ければよかった。組頭を年寄,長百姓(おさびやくしよう)などと呼ぶ地域もあった。【木村 礎】。…

【名寄帳】より

…1598年(慶長3)の近江国蒲生郡今在家村の事例では,両帳の間で総面積,村高,屋敷数などがほぼ一致しているが,登録人数では名寄帳のそれが著しく少なく,検地帳の半数にすぎない。初期の検地帳には,村内の有力農民である長百姓(おさびやくしよう∥おとなびやくしよう)などとともに弱小で零細な小百姓(こびやくしよう),平百姓(ひらびやくしよう)などが多数登録され,その中には有力農民の血縁小家族や名子(なご),被官,家持下人なども含まれていた。領主による検地に際して,弱小農民は有力農民と並ぶ年貢負担者とされ,検地帳上では高請地(たかうけち)の名請人(なうけにん)として登録されていたが,村内における生産・生活の実態の中では弱小農民は有力農民の庇護下にあった。…

【村方三役】より

…近世の村役人。名主(庄屋,肝煎(きもいり)),組頭(長(おとな)百姓,年寄),百姓代の総称。(1)名主・庄屋は村の長で,初期には前代の名主百姓や荘園の下司(げし)の系譜を引く有力農民がその地位についた。時とともに村内有力農民(複数)の中から順次選任されるようになり,村民の入札(いれふだ)(選挙)による場合もあった。いずれの場合も領主の許可が必要であった。村入用の中から若干の給米を受けるのがふつうである。…

※「長百姓」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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