サンスクリット語のジャンブ・ドゥビーパJambu-dvīpaに相当する俗語形からの音写語で、ほかに剡浮洲(えんぶしゅう)、贍部洲(せんぶしゅう)とも音訳される。ジャンブ樹jambuすなわちフトモモの木rose-apple treeの繁茂する島(ドゥビーパdvīpa)の意で、インドのことをいい、ひいては人間界のことをさす。仏教の世界観を組織的に叙述する『倶舎論(くしゃろん)』世間品(せけんぼん)によれば、外海中に須弥山(しゅみせん)をぐるりと囲んで四大洲があり、須弥山に向かって東には半月形の毘提訶洲(びだいかしゅう)(ビデーハ・ドゥビーパvideha-dvīpa)、南に贍部洲(それで閻浮提を単に南洲ともいう)、西に満月形の牛貨洲(ごかしゅう)(ゴーダーニーヤ・ドゥビーパgodānīya-dvīpa)、北に方座形の倶盧洲(くるしゅう)(クル・ドゥビーパkuru-dvīpa)があるといわれる。閻浮提は、3辺がおのおの2000由旬(ゆじゅん)(ヨージャナ。1ヨージャナは約7キロメートル)、残りの1辺がわずかに3.5由旬で、車のような形をしており、要するにインド亜大陸のことを示している。なおこの中央には、金剛座が屹立(きつりつ)し、そこで菩薩(ぼさつ)たちが金剛喩定(ゆじょう)(すべての煩悩(ぼんのう)を断ち切る堅固な心)を修習すると説かれている。
[高橋 壯]
仏教宇宙観にあらわれる洲(大陸)の名称。贍部洲(せんぶしゆう)ともいう。サンスクリットjambudvīpa。閻浮,贍部はjambuの音訳語で,提と洲はdvīpaのそれぞれ音訳語および意訳語である。世界の中心〈須弥山〉の南方,大海中に位置する。閻浮の名はここに生えるジャンブ樹(jambu,学名Eugenia jambolana)に由来し,南方にあるので〈南贍部洲〉とも呼ばれる。形はほぼ三角形に近い台形で,底辺を北にして横たわる。底辺の長さは2000由旬(1由旬=約7km),洲上には雪山(ヒマラヤ)やガンガー(ガンジス)川,インダス川などがあり,この洲はインド亜大陸の姿を反映していることがわかる。仏典では人間世界の全体を意味する言葉として使われている。
執筆者:定方 晟
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
年齢を問わず、多様なキャリア形成で活躍する働き方。企業には専門人材の育成支援やリスキリング(学び直し)の機会提供、女性活躍推進や従業員と役員の接点拡大などが求められる。人材の確保につながり、従業員を...
10/29 小学館の図鑑NEO[新版]動物を追加
10/22 デジタル大辞泉を更新
10/22 デジタル大辞泉プラスを更新
10/1 共同通信ニュース用語解説を追加
9/20 日本大百科全書(ニッポニカ)を更新