生薬名。中国産はツヅラフジ科のつる植物シマハスノハカズラStephania tetrandra S.Moore(粉防已,瓜防已(かぼうい))のほかに,ウマノスズクサ科のつる植物Aristolochia fanchi Wu(広防已)などの茎および根茎を,また日本産はツヅラフジ科のオオツヅラフジSinomenium acutum Rhed.et Wils.(漢防已)の根をさす。また,木防已と称するものは中国産,日本産ともにツヅラフジ科のアオツヅラフジCocculus trilobus (Thunb.) DC.であり,名称と基原植物が混乱しているうえに,成分および用途も多少異なる。いずれもアルカロイドを含むが,粉防已はテトランドリンtetrandrine,漢防已はシノメニンsinomenine,広防已は成分未詳,木防已はトリロビンtrilobineなどである。粉防已,漢防已はともに利尿,鎮痛作用があり,他の生薬と配合して,リウマチ,神経痛,関節炎,慢性腎炎などに用いられる。利尿作用は漢防已より木防已のほうが優れているとされているが,現在は漢防已のほうがよく使われる。
執筆者:新田 あや
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
出典 日外アソシエーツ「動植物名よみかた辞典 普及版」動植物名よみかた辞典 普及版について 情報
…本州(関東以西),四国,九州に分布し,台湾,中国にまで及ぶ。根茎,茎はアルカロイドのシノメニンsinomenineを含み,漢方で防已(ぼうい)と称され,消炎,鎮痛,利尿に効く薬として利用されている。また乾いたつるは,あみもの細工の材料になっている。…
※「防已」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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