市街地の火災の危険を低減するために定められる地域。街区単位で面的に指定されるものと、街路沿いに路線状に指定されるものとがある。防火地域が指定されると、建築物の構造に対する制限が一般の地域に比べて厳しくなり、小規模な建物以外は鉄筋コンクリート造などの耐火建築物にすることが義務づけられる。都市内の中心市街地や官公庁街、あるいは避難地や避難路周辺などの不燃化の可能性の高い地域や、不燃化の必要性の高い地域に指定される。
防火地域と同様の目的で定められるものとして準防火地域がある。準防火地域では防火地域より制限は緩やかになる。すなわち、大規模な建築物は耐火建築物にしなければならないが、中規模建築物は鉄骨造などの簡易耐火建築物でよい。準防火地域は防火地域を取り囲む形で指定されることが多い。木造密集市街地の火災危険の低減に準防火地域の指定は効果があるといわれている。
[室崎益輝]
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…一つのビルが多くの用途に使われているもの(複合用途ビル,雑居ビル)では,出火時の警報が遅れがちであるから,共同防火管理体制の的確な運用のあり方は防火上の重要な課題となっている。
[防火地域]
都市大火を抑止する抜本的手段は都市の不燃化である。ロンドン,パリ,シカゴ,サンフランシスコなど欧米の諸都市も例外ではなく,耐火建築を増やすことによって大火を撲滅した。…
…当時の耐火建築は費用面で木造建築と相当差があったため,融資会社として復興建築助成株式会社をつくったが,借手がなく補助金は余ってしまった。その後,日本の社会は経済恐慌から戦争へと進み,戦時規則として1939年に防空建築規則,42年に防火改修規則が出され,耐火不燃化でなく防火構造(木造モルタル塗)の考えが戦時中に生まれ,それが終戦後も臨時防火建築規則(1948)という形で残り,50年の建築基準法では防火地域(耐火構造),準防火地域(防火構造)となった。戦後も焼け残った都市が次から次へと大火に見舞われたため,52年に都市の中の幹線沿いに防火建築帯を指定して,その防火地域内の建築物の木造と鉄筋コンクリート造の差額の1/2の補助と固定資産税の減免を行ったのが耐火建築促進法で,これによって地方都市にも防火地域指定が広まったし商店街の再開発に利用され,いくつかの都市(沼津,静岡,小樽などの防火建築帯)にできた。…
※「防火地域」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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