阿寒川(読み)あかんがわ

日本歴史地名大系 「阿寒川」の解説

阿寒川
あかんがわ

釧路支庁管内中央部西寄り、阿寒町と釧路市を流下する二級河川。流路延長九八・四キロ(うち指定区間九四キロ)、流域面積七一七・九キロ。阿寒国立公園内阿寒町の阿寒湖南東岸から流出、南に流れて飽別あくべつ川・徹別てつべつ川・舌辛したから川・大楽毛おたのしけ川などを合流して、釧路市の西部、大楽毛で太平洋に注ぐ。中流域の丘陵地帯では河岸段丘が発達している。「協和私役」には「アカン沼と云。此より流れ出るをアカン川と云」と記される(安政三年八月二四日条)。阿寒川はもとは釧路川に注いでいた。

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改訂新版 世界大百科事典 「阿寒川」の意味・わかりやすい解説

阿寒川 (あかんがわ)

北海道東部,釧路地方を流れる川。阿寒湖に発し,南流して飽別(あくべつ)川,徹別(てしべつ)川,舌辛(したから)川などの諸支流を合わせ,釧路市街西方9kmの大楽毛(おたのしけ)で太平洋に注ぐ。延長94km,流域面積718km2。釧路市の大部分が集水域にあたる。下流部は,かつては東流して現在の仁々志別川の流路をとり釧路川に注いでいた。このため洪水の被害を釧路川西岸の地に与えていたので,1890年には分水溝を掘削して山花から大楽毛に導いた。また,この川は多量の土砂を運び釧路川河口の釧路港内を埋積するため,1914年には釧路港西方2kmに河口を移す河道改修を行い釧路川への合流を絶った。20年の大洪水には堤防が決壊し,山花から南流して先に造られた分水溝にあたる流路をとるようになった。大楽毛付近は海岸砂丘で,下流部の流路はこれを迂回している。57年大楽毛に進出した本州製紙釧路工場は工業用水をこの川に依存し,本流からの取水と支流の飽別川からの取水による4ヵ所の発電所(出力合計1万6120kW)がある。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「阿寒川」の意味・わかりやすい解説

阿寒川
あかんがわ

北海道東部,阿寒国立公園の阿寒湖を源とし,徹別 (てしべつ) ,舌辛 (したから) などの支流を合せて南流,釧路市西部で太平洋に注ぐ川。全長 89km。上流域は原生林におおわれるが,中・下流部の河谷は酪農地帯となり,下流では製紙工場が工業用水を取水する。初め釧路川の一支流であったが,1920~22年の洪水により釧路市山花から下流の流路が大楽毛 (おたのしけ) に河口をもつ現流路に移った。下流から河口にかけての低湿な釧路原野は,釧路湿原国立公園に属する。阿寒川に沿って国道 240号線が通る。

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