陰茎腫瘍(読み)いんけいしゅよう

日本大百科全書(ニッポニカ) 「陰茎腫瘍」の意味・わかりやすい解説

陰茎腫瘍
いんけいしゅよう

陰茎発生する腫瘍良性悪性に大別され、良性腫瘍のほとんどが尖圭(せんけい)コンジローマ(尖圭コンジローム)であり、悪性腫瘍大部分陰茎癌(がん)である。両者とも原因として包茎が関係している。

田崎 寛]

尖圭コンジローマ

冠状溝周辺に多く発生し、包茎による湿った状態で好発する。腫瘍は数ミリメートルの大きさで、表面がざらざらしてピンク色を呈する。ウイルス感染によるといわれ、細菌感染を合併すると黄色調になり、悪臭を放つ。治療としては、殺菌作用をもつクリームの塗布で、かなりの大きさのものまで消失するが、大きなものは電気焼灼(しょうしゃく)または抗腫瘍剤ポドフィリンの塗布を行う。

[田崎 寛]

陰茎癌

冠状溝周辺の亀頭(きとう)部に小さな潰瘍(かいよう)を伴う硬結として発生し、しだいに不整形で黄色に変化して悪臭を放つ。細菌感染を合併すると疼痛(とうつう)を伴う。鼠径(そけい)部リンパ節に転移しやすい。組織像は扁平(へんぺい)上皮癌で、発生年齢は20~70歳代まで幅広い。治療として陰茎切断術、放射線療法、化学療法がある。

[田崎 寛]

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家庭医学館 「陰茎腫瘍」の解説

いんけいしゅよう【陰茎腫瘍】

 陰茎の亀頭部(きとうぶ)や包皮(ほうひ)に発生する腫瘍です。
 包茎(ほうけい)がその発生にかかわると考えられているのが陰茎がんで、高齢者におこりやすいのですが、発生頻度は高くありません。陰茎がんの詳しい解説については、「男性性器のがん」の陰茎がん(「陰茎がん」)を参照してください。
 ただし、陰茎にできる腫瘍には、良性もあります。良性腫瘍では、尖圭(せんけい)コンジローマ(「尖圭コンジローマ(男性の)」)がその代表です。

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内科学 第10版 「陰茎腫瘍」の解説

陰茎腫瘍(腎・尿路腫瘍)

(7)陰茎腫瘍(penile tumor)
 陰茎癌は日本では全男性癌の1%以下と頻度は低い.欧米先進国ではきわめて少なく,東南アジア,アフリカ,南米に多い.割礼習慣のある民族にはほとんどない.ほとんどは包茎患者にみられ,不衛生な環境が要因となる.扁平上皮癌が大部分を占める.性行為感染症の1つである尖圭コンジローマと鑑別を要する.治療は,非浸潤癌に対しては,レーザー,放射線照射などの陰茎温存療法が試みられており,浸潤癌に対しては陰茎切断術が適応となる.希少癌であり転移症例に対する標準的な化学療法は確立していない.[山口雷藏・堀江重郎]

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