ペニスをおおっている
包皮と亀頭の一部が
真性包茎は新生児の96%、乳児の80%、幼児の60%、小学校低学年の40%にみられ、思春期前では10%、思春期後は5%と減少し、真性包茎の大部分は思春期までに自然に治ります。成人になって生殖活動が始まるまでは、むしろ小児の包茎は、包皮によって亀頭をおおい保護する意味をもち、生理的な自然な状態であるとの意見もあります。
①包皮口が極端に狭く排尿障害を来すことがあります。針穴のように狭いと、排尿時に包皮内に尿がたまり、風船のようにふくらむこと(バルーニング現象)があります。
②
③嵌頓(かんとん)包茎を起こすことがあります。
④
治療は原則として真性包茎にかぎられますが、泌尿器科医の間でも治療法の選択や時期に関して明確な治療指針がないのが現状です。真性包茎の大部分が自然治癒すること、包茎の手術後の外観に不満が残ることも少なくないこと、さらに最近、ステロイド軟膏による保存治療が有効なことがわかってきたので、手術は慎重に行うべきと考えます。
ただし成人以降も真性包茎を放置すると、慢性の炎症性刺激により陰茎(いんけい)がんになることがあり、思春期以降も真性包茎が治らない場合は手術を行ったほうがよいでしょう。
仮性包茎は基本的には手術の必要はありませんが、本人が気にする場合には手術をすることもあります。ただし、保険適応とはならず自費になります。
●保存療法
用手的包皮
キンダベートやロコイドなどの弱いステロイド軟膏を、1日2回、左手の親指と人差し指でペニスの根本方向に包皮を痛くない程度にひっぱり、包皮口に薄く塗ります。これを1~2カ月続けます。亀頭が完全に露出せず包皮の癒着が一部残ることもありますが、いずれはがれてきます。
その後は入浴時に時々包皮をめくり、再
●手術療法
保存的治療が無効で排尿障害を起こすほど狭い、あるいは亀頭包皮炎を繰り返す場合や嵌頓包茎を来した場合、思春期以降になっても真性包茎を認める場合には、手術の適応となります。環状切開術が一般的で、包皮の狭い部分を切除し縫い合わせます。
武田 光正
図23のようにおちんちんの
胎児のころは、包皮内板(包皮の内側部分)と亀頭はもともとくっついていて、包皮は亀頭を保護する役割を果たしていると考えられます。したがって乳幼児にみられる包茎のほとんどは生理的包茎で、幼児、学童と成長するにつれ徐々にむけていきます。新生児では96%が手を使ってもむけない包茎の状態ですが、乳幼児のころには包茎と思われても徐々にむけていきます。1歳で50%、3歳で70~90%、17歳では99%包皮がむけて心配ない状態になるといわれています。
通常、症状はありませんが、以下のような症状がみられることがあります。
①包皮口が狭いために排尿が難しい
尿が包皮内にたまり、風船状にふくらんで、おしっこが出にくいため、膀胱や腎臓を傷めてしまうおそれがあります。おしっこが勢いよく線を描き、腹圧を加えずにスムーズに出ているかどうか注意し、スムーズに出せていないようなら医師に相談します。
②
図23のように包皮と亀頭の間にたまった
普段はむけにくい包皮がたまたま何かの拍子にむけて、狭い包皮輪によって亀頭の
診察の際、手で包皮をむいた時に亀頭がまったく露出しないものを
包茎以外の症状がない時は、放っておいても問題ないため思春期まで経過をみます。前述のような症状がある場合や、思春期を過ぎた真性包茎では、手術を行います。
金子 一成
出典 法研「六訂版 家庭医学大全科」六訂版 家庭医学大全科について 情報
陰茎亀頭が包皮で包まれ露出していない状態を一般に包茎と呼ぶ。したがって小児では大部分が包茎であるが,成人になると陰茎や亀頭の発育とともに包皮は後退し亀頭が露出してくる。包皮の開口部を包皮輪と呼び,ここが異常に狭いと包皮を反転させて亀頭を露出させることができない。これを真性包茎という。包皮が長く平常は包茎であるが,その反転によって亀頭の露出が可能なものを仮性包茎と呼ぶ。真性包茎は先天的なもので遺伝の傾向がみられる。また亀頭包皮炎をくり返し包皮輪に瘢痕(はんこん)収縮が起こり,真性包茎と同様な状態が後天的に生ずることもまれにある(炎症性包茎)。真性包茎では,包皮と亀頭のあいだに分泌物(恥垢(ちこう)smegma)がたまりやすく,これが石のように硬くかたまり亀頭と包皮が癒着していることも少なくない。また不潔になりやすく,亀頭包皮炎を起こしやすい。高度の真性包茎では,包皮輪が針穴のように狭く,尿がうまく出ず水腎症を起こすこともある。仮性包茎は一般に症状もなく,大部分は正常の範囲と考えられ治療の必要もない。しかし平常時には包皮の反転が可能で亀頭が露出するが,陰茎が勃起したときにはこれが不可能なものは真性包茎に近く,治療の必要がある。またこのような例では,無理に包皮を反転させると,比較的狭い包皮輪が冠状溝付近で亀頭と包皮をしめつけるため,これより先の包皮や亀頭がむくんで元にもどらなくなることがある。これを嵌頓(かんとん)包茎paraphimosisと呼ぶ。仮性包茎でも,包皮が極端に長いものや,このために早漏の傾向がみられるもの,あるいは亀頭包皮炎をくり返すものでは治療の必要がある。包茎と陰茎癌の発生には関係があるとされ,ユダヤ教徒などのように,宗教的あるいは風俗的なならわしによって新生児期に包茎手術(割礼)を行う人々には陰茎癌が少ない。これは,恥垢や炎症などによる局所の刺激が発癌に関与しているためであろう。包茎の手術には,包皮の背面(包皮小帯付着部の反対側)を切開する簡単な方法と,余分な包皮を環状に切除する方法とがある。
執筆者:上野 精
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
陰茎を包む皮膚は亀頭部で内板(ないばん)と外板(がいばん)からなる包皮となっており、この内外両板の移行部である包皮口が狭いために包皮を反転させて亀頭を露出できないものを包茎という。包皮が長すぎていつも亀頭を覆っていても、包皮口が狭くなくて反転が容易にできるものは仮性包茎または偽(ぎ)包茎とよんで区別されることもある。乳児では内板と亀頭が癒着しているので包茎は生理的な現象であるが、2歳を過ぎると癒着が先端のほうからしだいにとれてくるのが普通で、この癒着がとれないまま包皮が長すぎたりすると、先端部が不潔になって炎症(亀頭包皮炎)を繰り返すことになる。この結果、包皮口が瘢痕(はんこん)化してますます狭くなり、成人しても包皮が反転できない、いわゆる真性包茎となる。包茎が高度の場合、つまり包皮口が極端に狭いと排尿障害が強くなり、排尿時に先端が球状に膨らんだり、上部尿路にまで拡張が及んで水腎(すいじん)症をおこすこともある。また、包皮口が狭いのに性交などにより無理に包皮を反転させたままにしておくと、循環障害により亀頭は狭い包皮輪に締め付けられ、包皮が腫(は)れ上がって亀頭を包皮内に戻せなくなる。これを嵌頓(かんとん)包茎という。包茎のまま局所を不潔にしておくと、包皮内に恥垢(ちこう)がたまったり、亀頭包皮炎を繰り返したり、ときにはこうした慢性の刺激が原因となって陰茎癌(がん)が発生することもある。
包皮内板と亀頭の癒着をはがすだけで治ることもあるが、多くの場合、包皮の背面を切開して包皮口を広げるか包皮を環状に切除する。仮性包茎はかならずしも手術の必要はない。
[松下一男]
出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
…陰茎を包む皮膚は下層とゆるく結合しているので移動性に富み,その前方部は包皮となる。亀頭は前端部の亀の頭に似た部分で,包茎の人では包皮がその上を覆っている。包皮の内面と亀頭の後端部では皮脂腺がよく発達していて包皮腺とよばれる。…
※「包茎」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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