真空に近い薄い気体中の放電において、陽極から陰極に向かって流れる陽イオンの流れ。1886年ドイツの物理学者E・ゴルトシュタインが、陰極にあけた小孔(カナル)から陽イオンを外室に導き出すことに成功し、カナル線ともよばれる。その後イギリスのJ・J・トムソンやF・W・アストン、ドイツのウィーンなどの研究によって、陽極線はイオン化された気体原子の流れであることが確認された。放電においては、陰極から陽極に向かって流れる電子群である陰極線と、陽極から陰極に向かって流れる陽イオンの群である陽極線により放電が維持されているといえる。陰極線は少なくとも一部は陰極から出発しているが、陽極線はすべて陽極と陰極の間で気体原子と陰極線の衝突によりできることに違いがある。
[東 忠利 2024年6月18日]
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