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障害者虐待防止法 しょうがいしゃぎゃくたいぼうしほう

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知恵蔵2015の解説

障害者虐待防止法

障害者の虐待の予防と早期発見、及び養護者への支援を講じるための法律。2011年6月成立、12年10月施行。正式名称を、「障害者虐待の防止、障害者の養護者に対する支援等に関する法律」という。
マイノリティーへの虐待に対する法的な取り組みとしては、児童虐待防止法(「児童虐待の防止等に関する法律」、00年11月施行)、高齢者虐待防止法(「高齢者虐待の防止、高齢者の養護者に対する支援等に関する法律」、06年4月施行)に続くものである。高齢者虐待防止法と同じく、虐待に至った養護者への支援にも言及している。
この法律が虐待を受ける「障害者」として定義しているのは、障害者基本法にある身体障害知的障害精神障害を負う人。虐待の種類を、身体的虐待、性的虐待心理的虐待、放置、経済的虐待の5分類としている。また、虐待の起こる場所を家庭内に限定せず、福祉施設や職場にも想定し、虐待を行う者として、養護者の他、福祉施設の職員や職場の上司等も想定範囲に含めた対策の必要性を明記した。
更に、虐待問題は虐待者と被虐待者の関係だけにとどまるものでなく、社会全体で共有すべきという視点から、虐待を発見した国民には市町村都道府県に通報する義務を課している。国と地方公共団体は、障害者虐待の防止、養護者への支援を進める義務を負う。
通報を受けた市町村は、被害者の生命に関わる重大な危険があると判断した場合、家族の許可がなくても家庭内に立ち入って調査することができる。福祉施設での虐待については、都道府県が調査の上指導し、そのの状況と対応を公表する。職場での虐待は、市町村または都道府県から労働局に報告し、調査・指導の上実態を公表する。これに伴い、全ての自治体に「市町村虐待防止センター」が設置され、都道府県には「都道府県権利擁護センター」が置かれる。
法が成立した背景には、障害者虐待事件が後を絶たないという事実がある。これまでにも大きく報道されたものに、水戸アカス事件(1995年発覚。職場での知的障害者に対する身体的・性的虐待)、滋賀サン・グループ事件(95年発覚。職場の上司から知的障害者に対する経済的・身体的虐待)、福岡カリタスの家事件(2004年発覚。知的障害者施設の職員による身体的虐待)などがある。

(石川れい子  ライター / 2011年)

出典|(株)朝日新聞出版発行「知恵蔵2015」
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デジタル大辞泉の解説

しょうがいしゃぎゃくたいぼうし‐ほう〔シヤウガイシヤギヤクタイバウシハフ〕【障害者虐待防止法】

《「障害者虐待の防止、障害者の養護者に対する支援等に関する法律」の通称》家庭・福祉施設・職場等での障害者に対する虐待の防止を目的とする法律。平成23年(2011)成立。平成24年(2012)10月施行。養護者・施設職員・職場の上司による身体的・心理的・性的・経済的虐待や放置といった行為が障害者虐待にあたり、発見した人は市町村や都道府県に通報しなければならない。対応窓口として各地方自治体に市町村障害者虐待防止センターや都道府県障害者権利擁護センターが設置され、市町村は家庭に立ち入り調査を行うことができる。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

障害者虐待防止法
しょうがいしゃぎゃくたいぼうしほう

家庭、福祉施設、職場での障害者への虐待の禁止、防止と早期発見、養護者らへの支援を定めた法律。正式名称は「障害者虐待の防止、障害者の養護者に対する支援等に関する法律」(平成24年法律第67号)。虐待の事実を訴えられない障害者に対する虐待は社会全体で共有、解決すべき問題であるとの見地から、虐待と疑われる行為を発見したすべての国民に地方自治体への通報を義務づけた。また、通報を受けた市町村には家庭内への立ち入り調査権や、被害者を家族や福祉施設から切り離す一時的保護を認めた。2011年(平成23)6月成立、翌2012年10月施行。社会的弱者への虐待防止に関する法律としては、児童虐待防止法(2000年11月施行)、高齢者虐待防止法(2006年4月施行)に続く法整備である。茨城、滋賀、福岡県など全国各地で障害者虐待事件が相次いで社会問題化したため、2004年ごろから法制定の気運が高まった。しかし、2005年の郵政民営化関連法案の否決による解散や2009年の政権交代につながる衆議院解散のあおりを受けて二度廃案となり、2011年に超党派議員立法で制定にこぎつけた。
 同法の保護の対象と規定されるのは障害者基本法に定める身体障害、知的障害、精神障害を負う人々で、虐待者としては、家族など身の回りの世話をする養護者だけでなく、福祉施設の職員、職場の上司や同僚などが規定された。虐待として禁止するのは、「身体的虐待」「心理的虐待」「性的虐待」のほか、介護や世話の放棄や必要な医療を受けさせない「ネグレクト」、年金や賃金を搾取する「経済的虐待」の5類型とする。また、虐待発見者に通報義務を課すと同時に、通報者を解雇するなどの不利な扱いをすることも禁止した。国と地方自治体は障害者虐待防止や養護者支援の義務を負い、必要に応じて警察へ援助を要請することや、成年後見人をつけるよう裁判所に申し立てることもできる。福祉施設での虐待は、地方自治体が調査のうえ実態を公表し、改善、勧告、業務停止や解散を命令する。職場での虐待については、地方自治体を通じて労働局が調査、指導し、実態を公表する。これに伴い、地方自治体には通報や届出を受け付ける365日24時間対応の窓口設置が義務づけられ、都道府県には「権利擁護センター」、市町村には「虐待防止センター」が置かれた。しかし同法施行後も障害者虐待は続いており、施行後半年間(2013年3月末まで)の障害者の虐待に関する相談・通報は約4500件に上り、うち約1500件が虐待と認定されたことが厚生労働省の調査で判明している。[編集部]

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