デジタル大辞泉 「障害年金」の意味・読み・例文・類語
しょうがい‐ねんきん〔シヤウガイ‐〕【障害年金】
2 特に、国民年金の「障害基礎年金」のこと。同じ国民年金の老齢年金(老齢基礎年金)・遺族年金(遺族基礎年金)と併称するときに用いる語。
3 通勤災害に対して給付される労災保険のうち障害給付の一。障害の程度が重い場合(厚生労働省令で定める障害等級の第1級~第7級)に支給される。
4 軍人・軍属・準軍属として在職中に公務により受傷・罹病し、一定程度の障害を負った人に対して国が支給する年金。
病気やけがで障害があり、条件を満たせば現役世代でも受け取れる公的年金。障害基礎年金と障害厚生年金の2種類がある。障害の重い順に1~3級に分かれ、支給額は基礎年金の1級で月約8万5千円、2級で約6万8千円。主治医に診断書を書いてもらい、他の書類とともに申請すると、日本年金機構の判定医が支給の可否や等級を審査する。数年おきに更新手続きが必要な場合があり、「障害が軽くなった」などと判定されると、支給が打ち切られたり減額されたりする。
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年金保険制度において、被保険者が一定程度以上の障害を事由に支給される年金で、国民年金から支給される全国民共通の障害基礎年金と、厚生年金保険から支給される障害厚生年金・障害手当金がある。
[山崎泰彦 2023年6月19日]
障害基礎年金は、障害の原因になった傷病の初診日前に保険料納付済期間と保険料免除期間が加入期間の3分の2以上あり、障害認定日に障害等級の1級または2級の状態に該当する場合に支給される。障害認定日は、初診日から1年6か月を経過した日またはその間に治った日である。「治った」とは、症状が固定し、医学上それ以上の治療効果が期待できない状態に至ったことをさす。障害認定日において該当しなかった場合でも、65歳前に該当する障害の状態になったとき(事後重症)には、本人の請求により障害基礎年金が支給される。初診日に20歳未満であった者には、障害の状態にあって20歳に達したとき、または20歳に達した後に障害の状態になったときから、本人の所得に応じた所得制限を条件に障害基礎年金が支給される。
年金額(年額、2023年度)は、1級の障害基礎年金が99万3750円、2級の障害基礎年金が老齢基礎年金と同額の79万5000円で、1級は2級の25%増である。18歳到達年度の末日までの子または20歳未満であって1級・2級の障害の状態にある子があるときは、第1子と第2子には1人につき22万8700円、第3子以降は1人につき7万6200円が加算される。
[山崎泰彦 2023年6月19日]
障害厚生年金は、厚生年金の被保険者期間中に初診日のある傷病が原因で、障害基礎年金に該当する障害(1級・2級)が生じたとき、障害基礎年金に上乗せして支給される。障害基礎年金に該当しない障害であっても、厚生年金の障害等級に該当するときは、3級の障害厚生年金または一時金として障害手当金が支給される。障害厚生年金の支給要件である保険料納付済期間等の要件、障害認定日、事後重症の扱いは、障害基礎年金と同一である。
障害手当金は、厚生年金の被保険者期間中に初診日のある傷病が初診日から5年以内に治り、一定の障害の状態にある場合に支給される。障害手当金の保険料納付済期間などの要件も障害基礎年金と同一である。
年金額(年額)は、2級が報酬比例の年金額(被保険者期間中の平均標準報酬月額×支給乗率×被保険者期間月数)で、1級は2級の25%増、1級と2級には配偶者の加給年金が加算されるが、3級は報酬比例の年金額のみで配偶者の加給年金はつかない。また、子の加算は、障害基礎年金につくので、障害厚生年金にはつかない。障害手当金は報酬比例の年金額の2年分である(最低保証額が設定されている)。平均標準報酬月額は、在職時の標準報酬月額に再評価率を乗じて算出する。また、被保険者期間中などに死亡した場合で、被保険者期間の月数が300月に満たないときは300月として計算し、遺族厚生年金として支給される。
[山崎泰彦 2023年6月19日]
1級と2級は国民年金および厚生年金に共通する。1級は、他人の介助を受けなければ日常生活のほとんどができないほどの障害の状態。2級は、かならずしも他人の介助を受ける必要はなくても、日常生活に著しい不自由があり、労働によって収入を得ることができないほどの障害の状態。3級は、日常生活にはほとんど支障はないが、労働が著しい制限を受けるか、または労働に著しい制限を加えることを要する程度の障害の状態である。障害手当金は、3級の障害よりやや程度の軽い障害が残った状態の者に支給される。なお、障害年金における障害の等級は、身体障害者手帳の等級とは異なる。
[山崎泰彦 2023年6月19日]
すべての国民に公的年金制度への加入が義務づけられ、国民皆年金体制にある日本において、年金を受給できない無年金者が存在する。基本的には加入を怠った本人の責任によるものであるが、過去においては制度上の不備から発生した障害無年金の問題があった。そのなかで、国民年金の任意加入であった、1991年(平成3)3月以前に学生であった者または1986年(昭和61)3月以前に被用者の配偶者であった者で、任意加入していなかった時期に初診日があり、1級または2級の状態にある者には、2004年(平成16)の特別障害給付金法(特定障害者に対する特別障害給付金の支給に関する法律)により、本人の所得による支給制限を条件として、全額国庫負担により給付金が支給されている。支給額(月額、2023年度)は、1級5万3650円、2級4万2920円である。
しかし、1982年1月1日時点で20歳を超えていた在日外国人障害者および1986年時点で60歳を超えていた在日外国人高齢者は、当時国民年金加入の対象でなかったために、現在でも無年金障害者・無年金高齢者として取り残されている。在日外国人については、日本が1981年に難民条約を批准し、1981年12月31日に国民年金法の国籍要件が撤廃されたことにより問題の一部は解消したが、彼らが無年金のまま取り残されているという状況にあるのは、特別障害給付金法のような経過措置を行わなかった制度不備により残されている問題である。
[山崎泰彦 2023年6月19日]
年金制度において,被保険者が障害状態になったとき支給される年金給付で,日本の公的年金制度では,国民年金制度を通して支給される全国民共通の障害基礎年金と,厚生年金保険(または共済年金)から支給される障害厚生年金(または障害共済年金)がある。
障害基礎年金は,初診日において,(1)被保険者であること,(2)過去に被保険者であった者で,日本国内に住所があり,かつ60歳以上65歳未満であること,のいずれかに該当する者であって,かつ資格期間の要件を満たしている者が,障害認定日に障害等級の1級または2級の障害の状態に該当する場合に支給される。資格期間は,原則として,初診日前に保険料納付済期間と保険料免除期間をあわせた期間が被保険者期間の2/3以上あることが必要である。ただし,2006年4月1日前に初診日のある傷病による障害の場合は,初診日前の1年間に保険料滞納期間がないときにも障害基礎年金が支給される。障害認定日は,初診日から1年6ヵ月を経過した日またはその間に治った日(症状が固定し,医学的に傷病が治癒したと認められる状態)である。ただし,障害認定日において該当しなかった場合でも,65歳前に該当する障害の状態になったとき(事後重症)には,本人の請求により障害基礎年金が支給される。障害等級の1級は,日常生活が自分だけではできず,他人の介助を要する状態,2級は,他人の介助は必要でないが,日常生活に著しい不自由がある状態である。なお,初診日に20歳未満であったため加入要件を満たしえなかった者には,障害の状態にあって20歳に達したとき,または20歳に達した後に障害の状態になったときから,本人の所得制限を条件に障害基礎年金が支給される。年金額は,1級は老齢基礎年金の1.25倍,2級は老齢基礎年金と同額で,その他に,受給権を取得したとき,その者によって生計を維持されていた18歳の年度末までの子または20歳未満で1級・2級の障害の状態にある子があるときは,子の数に応じて加算がつく。
障害厚生年金は,厚生年金保険の被保険者期間中に初診日のある傷病が原因で,障害基礎年金に該当する障害(1級・2級)が生じたときに,障害基礎年金に上乗せして支給される。また,障害基礎年金に該当しない程度の障害であっても,厚生年金保険の障害等級に該当するときは,3級の障害厚生年金または一時金として障害手当金が支給される。障害厚生年金の支給要件である保険料納付済期間等の要件,障害認定日,事後重症の扱いは,障害基礎年金と同一である。障害手当金は,厚生年金の被保険者期間中に初診日のある傷病が初診日から5年以内に治り,一定の障害の状態にある場合に支給される。障害手当金の保険料納付済期間等の要件も障害基礎年金と同一である。障害厚生年金の年金額は,報酬比例の年金額(平均標準報酬月額×7.5/1000×被保険者期間の月数×スライド率)を基本にして,2級と3級がこれと同額,1級が25%増,1級と2級にはその他に配偶者加給年金額が加算されるが,3級には配偶者の加給年金額がつかない。また,子の加給年金額は,障害基礎年金に加算されるので障害厚生年金にはつかない。また,被保険者期間中などの死亡の場合で,被保険者期間の月数が300月に満たないとき,300月として計算する。障害手当金(一時金)は報酬比例の年金額の2年分に相当する額である。なお,3級の障害厚生年金と障害手当金には,最低保障額が定められている。
→年金
執筆者:山崎 泰彦
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(梶本章 朝日新聞記者 / 2007年)
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…被用者が老齢,障害,死亡により所得を喪失した場合,本人および家族の生活を保障するために主として年金給付を行う社会保険である。 1942年実施の労働者年金保険に始まり,44年に一般事務職,女子も対象に加えて,厚生年金保険の名称に改められた。戦時体制下に制定されたこの年金制度には,生産力の拡充のための労働力の増強確保と強制貯蓄的な機能が期待されていた。第2次大戦後は激しいインフレのために一時は存在の意義も疑われたが,54年の抜本的な改正によって一応の体制を整え,新しい厚生年金保険として再出発することとなった。…
…このような残された問題を完全に解消するために,全額国庫負担制に切り替えるべきだとか,当面,基礎年金に対する国庫負担を引き上げて保険料負担を軽減すべきだといった提案も行われている。年金障害年金遺族年金福祉年金【山崎 泰彦】。…
…これによって,身体障害者対策の目標が社会復帰,すなわち自立生活への復帰であることが明確化された。(4)59年には国民年金法が制定され,障害年金および障害福祉年金の制度が設けられた。後者は20歳前から障害のある者についても支給されるもので,公的扶助以外では幼少期以来の障害者に対する初めての所得保障となった。…
…この公的扶助も,広義の年金の一種と考えている国もある。 年金の主要な給付は老齢年金だが,このほかに一般に障害年金と遺族年金が支給される。年金制度は,老齢,障害,死亡による所得の喪失に際して一定の年金を支給する防貧の制度で,公的扶助はすでに貧困におちいった者を事後的に救済する救貧の制度である。…
※「障害年金」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
年齢を問わず、多様なキャリア形成で活躍する働き方。企業には専門人材の育成支援やリスキリング(学び直し)の機会提供、女性活躍推進や従業員と役員の接点拡大などが求められる。人材の確保につながり、従業員を...
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