隴を得て蜀を望む(読み)ろうをえてしょくをのぞむ

故事成語を知る辞典「隴を得て蜀を望む」の解説

隴を得て蜀を望む

一つの望みがかなうと、さらにその上を望みたくなることのたとえ。欲望には限りがないことのたとえ。

[使用例] 作中、個々の人物が、多少概念的であったり、輪郭がぼんやりしていたりするが、〈〉今日の川口君にってはを得てを望むたぐいであろう[岸田国士*新劇復興の兆|1932]

[由来] 「後漢書しんほう伝」に載っている話から。一世紀、後漢王朝が創始されて間もないころの中国でのこと。隴(現在のかんしゅく省内)という地域をほぼ平定したこうていは、「隴を平定したら、今度は南へを進めて蜀(現在の四川省)の対立勢力を鎮圧したい」と考えました。そういうふうに野望がとどまることのないことを、ある部下に向かって、「『既に隴を平らげてた蜀を望む(隴を平らげたと思ったら、今度は蜀が欲しくなる)』。軍隊を動かすたびに白髪が増えていくよ」と自嘲気味に語っています。

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ことわざを知る辞典「隴を得て蜀を望む」の解説

隴を得て蜀を望む

一つの望みがかなうと、さらにその上を望むことのたとえ。欲望には限りがないことのたとえ。

[使用例] 隴を得て蜀を望むはそれ人情の常なるかも[樋口一葉*別れ霜|1892]

[解説] 「隴」は、中国、甘粛省東南部の地。「蜀」は、四川省の別称。魏の武将、(=仲達)が隴の地方を平定し、勝ちに乗じて、蜀を攻め取ろうとした時、主君曹操がこう言ったという故事が「晋書―宣帝紀」や、「資治通鑑―漢紀・献帝」の建安二〇年の条に見えます。

[類句] 望蜀の願い

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精選版 日本国語大辞典「隴を得て蜀を望む」の解説

ろう【隴】 を 得(え)て蜀(しょく)を望(のぞ)

(中国、魏の司馬懿(しばい)が隴の地方を平定し、勝ちに乗じて、蜀を攻め取ろうとしたとき、曹操が答えたことば) 一つの望みを遂げて、さらにその上を望むことのたとえ。欲望には限りがないことのたとえ。望蜀(ぼうしょく)
※別れ霜(1892)〈樋口一葉〉二「隴を得て蜀を望むは夫(そ)れ人情の常なるかも」 〔李白‐古風五十九首・詩其二三〕

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デジタル大辞泉「隴を得て蜀を望む」の解説

ろうしょくのぞ

の地方を手に入れ、さらにを攻めようとしたとき、曹操司馬懿しばいに答えた言葉から》一つの望みを遂げると、次の望みが起こってきて、欲望には限度がないたとえ。望蜀。

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