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雁のたより かりのたより

世界大百科事典 第2版の解説

かりのたより【雁のたより】

歌舞伎狂言。1幕。上演外題《渡雁恋玉章(わたるかりこいのたまずさ)》ほか。《東都名物錦絵始(おえどのめいぶつにしきえのはじまり)》などの中にあった趣向を,金沢竜玉(3世中村歌右衛門)が石川五右衛門を扱った自作の狂言《けいせい雪月花(せつげつか)》の1幕に採り入れ,その脚本が後世に伝わった。1830年(天保1)正月大坂角の芝居初演。髪結三二五郎七を3世中村歌右衛門,傾城司を中村松江(後の2世富十郎),高木次郎太夫を2世嵐璃寛。

出典 株式会社日立ソリューションズ・クリエイト世界大百科事典 第2版について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

雁のたより
かりのたより

歌舞伎(かぶき)劇。世話物。1幕。金沢竜玉(かなざわりゅうぎょく)(3世中村歌右衛門(うたえもん))作。1830年(天保1)1月、大坂角(かど)の芝居初演。有馬の髪結三二五郎七(さんにごろしち)は前野家の主君の愛妾司(つかさ)に見そめられ、邪推した前野のため、にせの恋文でおびき寄せられ、大ぜいに打擲(ちょうちゃく)される。しかし、前野の家老高木の計らいで、五郎七実は高木の甥(おい)浅香与一郎で司とは幼時からの許嫁(いいなずけ)とわかり、めでたく結ばれる。上方和事(かみがたわごと)の一面である滑稽(こっけい)味の濃い狂言で、ストーリーよりもにせ恋文を見た五郎七が喜ぶあたりの遊び気分が眼目。3世中村歌右衛門が石川五右衛門を扱った『けいせい雪月花(せつげつか)』のなかに組み込んだ自作自演の一幕が後世に伝わり、『渡雁恋玉章(わたるかりこいのたまずさ)』『雁の便りまいらせそうろう』などの名題で今日でも上演される。[松井俊諭]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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