俳諧用語。蕪村は門弟召波の《春泥句集》(1777)に寄せた序文の中で,〈俳諧は俗語を用ひて俗を離るるを尚ぶ。俗を離れて俗を用ゆ。離俗の法最もかたし〉としるしている。俳諧に用いられる言葉は,ことさらにあらたまった雅語のようなものではなく,だれもが日常に使う平易な俗語でなければならず,しかも俗から離れなければならないという。これは蕪村の俳諧の基本的な態度,方法をあらわすものである。俗と離俗と同時におこなおうとすることは,芭蕉の〈高く悟りて俗に帰るべし〉につながるものであろうが,蕪村の場合,俗に〈帰る〉よりも,俗から〈離れる〉ことが強調されている。俗を離れる近道として,漢詩について語ることをすすめるが,それは画家における俗気をはらうために書物を多く読めという〈去俗論〉がヒントになっている。
執筆者:山下 一海
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報
…そのころ俳諧は余技として親しんでいたようだが,1766年(明和3)に蕪村が三菓社を結成したときそれに参加して,以後俳諧に熱中するようになり,めきめき頭角をあらわした。去来,嵐雪,其角,素堂らの作風を慕い,支考,麦林(乙由)らの俗調を排して蕪村に心酔し,離俗の生活を喜んだ。蕪村は召波のことを後に〈京師にはめづらしき俳者にて〉と激賞している。…
※「離俗」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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