雪華図説(読み)セッカズセツ

デジタル大辞泉 「雪華図説」の意味・読み・例文・類語

せっかずせつ〔セツクワヅセツ〕【雪華図説】

雪の結晶図説集。古河こが藩主土井利位どいとしつら著。天保4年(1833)正編、同11年続編刊。顕微鏡観察した合計183の雪の結晶図と、論考「雪の生成物理」等を収める。

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精選版 日本国語大辞典 「雪華図説」の意味・読み・例文・類語

せっかずせつセックヮヅセツ【雪華図説】

  1. 雪の結晶図集。下総国茨城県古河の一一代藩主、土井利位(としつら)著。雪の結晶のスケッチ一八三種を集録。正編は天保四年(一八三三)、続編は同一一年刊。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「雪華図説」の意味・わかりやすい解説

雪華図説
せっかずせつ

下総(しもうさ)国古河(こが)(現、茨城県)の11代藩主土井利位(としつら)が、20年余にわたって雪の結晶を観察し、顕微鏡による結晶図として出版されたもの。正編(1832年12月刊)には86個の結晶図とともに、利位によって「雪の生成の物理」と「雪の功用」が述べられている。注目すべきは、家老蘭学(らんがく)者の鷹見(たかみ)泉石がその後書きのなかで、マルチネットJ. F. Martinet(1729―1795)の自然学教科書から雪の結晶図12種を引用していることで、本書成立に蘭学が大きく影響したことを示唆している。続編(1840年9月刊)には、大坂城代、京都所司代として任地で観察したものを含め、97個の結晶図を収めている。これを著したことは日本における西欧科学の黎明(れいめい)期にあって特筆さるべき業績であった。

小林禎作・前野紀一]

『小林禎作著『雪華図説新考』(『雪華図説 正続』所収・復刻版・1982・築地書館)』


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百科事典マイペディア 「雪華図説」の意味・わかりやすい解説

雪華図説【せっかずせつ】

下総(しもうさ)国古河藩主土井利位(としつら)〔1789-1848〕の著書。雪の結晶を蘭鏡(顕微鏡)で忠実に観察,組織的に研究したもので,正編(1833年刊)は1828年―1832年の86個,続編(1840年刊)は1832年―1840年の97個の降雪の結晶図をのせる。利位は大坂城代,京都所司代,老中などを歴任,家老高見忠常の影響により蘭学に興味をもち杉田玄白大槻玄沢司馬江漢らとも親交があった。

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世界大百科事典(旧版)内の雪華図説の言及

【気象学】より

…1825年に刊行された青地林宗の《気海観瀾(きかいかんらん)》は,物理学・化学をおもに扱った本であるが,気象に関することもかなり含まれている。古河藩の城主土井利位(としつら)は顕微鏡で雪の結晶を観察し,そのスケッチを《雪華図説》として1833年に出版している。また,越後の商人鈴木牧之は1835‐42年に《北越雪譜》を出したが,これは雪に関連した各種の話題を収めたものである。…

【土井利位】より

…はじめは水野忠邦を助けて天保改革をすすめたが,のちに上知令(あげちれい)に反対して忠邦の失脚後は代わって老中首座となり,44年(弘化1)まで在職した。家老の鷹見泉石の影響で蘭学に親しみ,顕微鏡で雪の結晶を観察して《雪華図説》を著した。【大口 勇次郎】。…

※「雪華図説」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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