電圧調整器(読み)でんあつちょうせいき(その他表記)voltage regulator

改訂新版 世界大百科事典 「電圧調整器」の意味・わかりやすい解説

電圧調整器 (でんあつちょうせいき)
voltage regulator

負荷に供給する電圧を適正に維持するため,電源と負荷との間に入れられる機器。小電力の直流回路では図1のような演算増幅器とツェナーダイオードを用いた増幅回路により一定の負荷電圧が得られる。出力電圧Voは順方向に対し,ほぼ一定の端子電圧をもつツェナーダイオードの動作電圧Vzに対し,の関係があるので,R3を通じ,Vzをある値に保持しておけば,負荷に無関係に一定の出力電圧Voが得られる。大電流の場合にはブースター(加減圧機)と呼ばれる直巻直流発電機を回路に直列に入れ,電流にほぼ比例して電圧が増減する特性を利用し,出力電圧を適正に維持する方法がある。交流回路では,小容量の場合は,鉄心入りコイルとコンデンサー共振を利用した鉄共振回路飽和変圧器を用いる方法もあるが,容量が大きい場合には電源となる変圧器の変圧比を電源電圧の変動や負荷の変化に対応して変え,負荷への供給電圧を適正に維持する方法がとられる。とくに送変電回路のような大容量の場合にはこの方法が一般的である。図2のように変圧器コイルの一部に口出し線(タップ)を設け,このタップの位置を負荷時,すなわち通電流状態で切換えのできる装置で切り換え,変圧比を変えることで負荷側の電圧を調整している。この種の変圧器を負荷時タップ切換変圧器といっている。また,線路に直列に変圧器を挿入し,この励磁用の変圧器のタップを負荷時に切り換え,電圧を調整する方法もあり,これは負荷時電圧調整変圧器といっている。前者のほうがより一般的である。いずれにしても,調整すべき電圧を検出し,これを制御回路に入れ,その信号を受けて調整装置が動作するようになっている。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「電圧調整器」の意味・わかりやすい解説

電圧調整器
でんあつちょうせいき

電力系統や特定の電気回路において、電圧を所定の値に調整する装置をいう。電力系統は広範な地域にまたがっているので、その電圧調整はかなり複雑となる。22キロボルト以上の系統では、発電機端子電圧の上げ下げ分路リアクトル電力用コンデンサーなどの調相設備の投入、上位系統における変圧器のタップの切替えなどによって、ほぼ所定の値に調整している。直接需要家に供給する配電用変電所の二次電圧は、電圧調整器を用いてさらに細かく、たとえば重負荷時には3450ボルト、軽負荷時には3150ボルトのように調整し、需要家の引込み口の電圧をつねに一定範囲内になるようにしている。この電圧調整装置としては、誘導電圧調整器、負荷時電圧調整器などがあるが、効率よく経済的な負荷時タップ切替器付変圧器(負荷に送電した状態でタップの切替えが可能)が多く使用されている。小電力の交流回路では、磁気増幅器、サイリスタなどによる連続的な制御方法、オンオフ方式による不連続的な制御方法などがある。

[内田直之]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「電圧調整器」の意味・わかりやすい解説

電圧調整器
でんあつちょうせいき
voltage regulator

電源電圧や負荷が変化しても,負荷に供給する電圧を一定にするための機器。直流電圧の調整には,小電力の場合,定電圧放電管を利用するもの,電源に直列に入れた電子管の内部抵抗を制御して電圧を一定にする方法などが用いられ,大電力の場合は,昇圧機を電源に直列に入れる。交流電圧の調整には鉄共振を利用したもの,飽和変圧器を用いるものがあるが,大容量のものでは負荷時電圧調整器誘導電圧調整器がある。電圧の調整を自動化したものが自動電圧調整器である。

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