ダイオード電流が変わっても、端子電圧をほぼ一定に保つことのできるシリコン(ケイ素)ダイオード。定電圧ダイオードともいう。ダイオードは通常逆方向に電圧を加えても、抵抗が高くて電流は流れない。しかし、この電圧をあげていくと、ある電圧までほとんど流れなかった電流が、その電圧を越えると急増し、しかもその電圧はほぼ一定に保たれる。この電流の急増は、一時的にダイオードが電流阻止能力を失っただけで、電圧が下がれば元に戻る。すなわち一時的に阻止能力が失われるにすぎないので、降伏現象とよばれる。この降伏現象を積極的に利用したのがツェナーダイオードで、この現象はトンネル効果となだれ効果の2種類の効果によっている。動作電圧6ボルト以下のものは主として量子力学的トンネル効果により、それ以上の動作電圧のものは主としてなだれ効果によって電流の急増が起こる。この現象は1930年にアメリカの物理学者ツェナーClarence Melvin Zener(1905―1993)によって説明されたので、ツェナーダイオードとよばれるようになった。このダイオードは、合金法や不純物の熱拡散法でつくったシリコンpn接合によっており、電源電圧の安定化、基準電圧の発生などに用いられている。また、外部からのパルス状雑音を一定値以下に抑える作用があるので、集積回路などの保護にも多用されている。
[右高正俊]
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
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