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電照栽培(読み)でんしょうさいばい

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

電照栽培
でんしょうさいばい

収穫期を人工的に変動させることを目的に電照を利用する栽培法。作物には昼夜の長短に応じて開花する性質があり,日照時間が 12時間より長い季節に開花するものを長日性,逆のものを短日性,さらに短いときから長いときの範囲で開花するものを中間性と呼んで区別している。稲,朝顔,などは短日性,麦,えんどうなどは長日性である。菊を冬に栽培すると草丈の低いうちに開花して商品とならないが,夕方あるいは夜間に一定時間電灯の下で生育させ,一定の草丈に達してから電照をやめると,開花の条件が整い,やがて開花,商品としての菊を得ることができる。いちごでも広く行われる。

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デジタル大辞泉の解説

でんしょう‐さいばい〔デンセウ‐〕【電照栽培】

電灯などを照射して作物の生育を促成または抑制する栽培法。開花抑制を受けて冬に出荷される菊などの類。

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百科事典マイペディアの解説

電照栽培【でんしょうさいばい】

電灯照明により,自然日長が短い時期に短日植物の開花を抑えたり,長日植物の開花を促進したりする方法。電灯照明は50ルクス以上が有効である。おもにキクイチゴの栽培に用いられている。キクでは,ある程度生長するまで電照して花芽分化を阻止しておき,その後は自然日長のもとで開花させる。おもに秋・寒ギク型品種で行われている。開花抑制のほか,切花の品質低下の防止に効果がある。イチゴの促成栽培では,休眠に入らないように10月下旬ごろから夜中の一定時間,一定のサイクルで点灯と消灯とを繰り返す間欠点灯が行われている。
→関連項目遮光栽培日長処理

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世界大百科事典 第2版の解説

でんしょうさいばい【電照栽培】

植物の花芽形成には日長が重要な影響を及ぼしており,キク(秋ギク)などは日長がある特定の時間よりも短くなった場合にだけ花芽を形成し(これを短日植物という),キンギョソウ,ストックなどは日長がある特定の時間よりも長くなった場合にだけ花芽を形成する(これを長日植物という)。短日植物の花芽形成を抑えて栄養生長を続けさせるために,あるいは長日植物の開花を促進させるために,夜中に数時間電灯照明をして植物を栽培することを電照栽培という。

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大辞林 第三版の解説

でんしょうさいばい【電照栽培】

電灯の照明によって花芽の分化や開花を調節する栽培法。植物の光周性を利用したもの。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

電照栽培
でんしょうさいばい

電灯照明を利用して作物の生育を促成または抑制する栽培法。日長が長くなると花をつける長日植物は、日長が短い季節でも温度その他の条件を満たした環境で育てたうえに、人工照明を補って長日条件にすると花をつける。また短日植物に対して人工照明を補うと花がつくのが抑制される。この性質を栽培に応用し、ハウス栽培などで電灯照明により作物の自然開花期以外の時期に開花させることを電照栽培という。なお短日植物を長日の季節に咲かせるための、電照栽培と反対の栽培法を遮光(シェード)栽培という。
 現在もっとも電照栽培が実用化されているのはキクの開花抑制である。キクは短日植物で、秋が自然開花期である。これを遅らせて正月、早春の切り花用に生産するために、短日の季節、8月下旬ころになったら夕方から電灯照明し、花芽着生を防ぐ。あるいは夜中に数時間電照して暗期を中断し、相対的に長日条件にしても着花しない。こうして目的の開花日の約60日前に電照をやめると、すでに自然は短日になっているので、花芽がつき、開花する。
 キクの電照栽培は1955年(昭和30)ころから広く普及し、静岡、愛知、兵庫、福岡、香川の諸県に集団栽培がある。キクのほかには、アスター、ハナショウブ、ストックなどの長日植物や、ダリア、グラジオラスなど短日植物の開花調節に用いられているが、規模はわずかである。[星川清親]

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世界大百科事典内の電照栽培の言及

【環境調節】より

… 1920年W.W.ガーナーとH.A.アラードが温室をカーテンで覆うような方法で,自然の日長時間を調節する装置を用いて,植物の開花現象が日長時間の長短によって起こること(光周性)を発見した。秋の短日条件で開花するキクを,夜間,温室に照明をほどこすことによって日長時間を長くして開花調節を行い,秋以外の季節に出荷する電照栽培は,この現象を実際面に応用した環境調節の例として有名である。またイチゴのように低温により花芽が形成されるものについては,人為的に低温を与える春化処理が行われている。…

※「電照栽培」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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