青墓宿(読み)あおはかしゆく

日本歴史地名大系 「青墓宿」の解説

青墓宿
あおはかしゆく

[現在地名]大垣市青墓町

東山道宿駅。平安末期から鎌倉期にかけて遊女傀儡子のいる宿として著名。保元の乱後斬られた源為義の子、乙若・亀若・鶴若・天王丸の母は青墓宿の長者の女であった(「保元物語」、「吾妻鏡」建久元年一〇月二九日条)平治の乱に敗れた源義朝は、青墓の長者大炊の女延寿との間に夜叉御前をもうけていた縁で青墓に逃れ、大炊の兄弟の内記平三真遠の努力によって尾張国知多ちた内海うつみ(現愛知県知多郡南知多町)に落ちのびている。また、義朝の子朝長は青墓で自害している(平治物語・吾妻鏡・尊卑分脈・帝王編年記)

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改訂新版 世界大百科事典 「青墓宿」の意味・わかりやすい解説

青墓宿 (あおはかのしゅく)

美濃国不破郡の東山道の宿駅。現,岐阜県大垣市青墓。青波賀,奥波賀,遭墓,大墓,青波加,青冢とも書く。平安末期から鎌倉期にかけて傀儡子(くぐつ)や遊女のいる宿として著名。宿の長者を青墓長者といい,大炊(おおい)といった。保元の乱後斬られた源為義の子の乙若,亀若,鶴若,天王丸の母が青墓長者の女であったことが《保元物語》にみえる。また,《平治物語》によると源義朝は平治の乱に敗れ,青墓に逃れているが,青墓長者大炊の女延寿との間に夜叉御前をもうけていたという。このように青墓長者と源氏との関係は深く,鎌倉幕府成立後,源頼朝は1190年(建久1)の上洛の際,青墓に立ち寄り,青墓長者大炊および息女を召し出し,纏頭(てんとう)を与えている。その後の青墓宿の動向はよくわからないが,戦国期の浅井氏の西美濃侵入などの兵乱によって町人が逃散し,宿は消滅したと考えられる。
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百科事典マイペディア 「青墓宿」の意味・わかりやすい解説

青墓宿【あおはかのしゅく】

美濃(みの)国にあった東山道宿駅。青波賀,大墓などとも書く。現在の岐阜県大垣市青墓町。平安末期から鎌倉期にかけて遊女傀儡(くぐつ)がいた宿として著名。宿の長者を青墓長者といい,《保元(ほうげん)物語》によると保元の乱後に斬られた源為義の子の母は青墓長者の女(むすめ)で,《平治物語》には平治の乱に敗れた源義朝が青墓に逃れたと記され,源氏と関係の深い地であった。遊女や傀儡は青墓長者の管轄におかれたと考えられるが,大江匡房(まさふさ)の《傀儡子記》に登場する美濃の傀儡子(傀儡)は青墓宿を拠点としていたものであろう。戦国期までは東山道の宿として存続していたらしい。

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