青島幸男(読み)アオシマユキオ

デジタル大辞泉 「青島幸男」の意味・読み・例文・類語

あおしま‐ゆきお〔あをしまゆきを〕【青島幸男】

[1932~2006]政治家・小説家・俳優。東京の生まれ。放送作家としてテレビの脚本などを手がけ人気を集めた後、タレントとして活躍。昭和43年(1968)には参議院議員となる。「人間万事塞翁が丙午」で直木賞受賞。他に「蒼天に翔る」「極楽トンボ」「繁盛にほんばし弁菊」など。平成7年(1995)東京都知事となり、退任後はタレント活動を再開。

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新撰 芸能人物事典 明治~平成 「青島幸男」の解説

青島 幸男
アオシマ ユキオ


職業
タレント 作家

肩書
東京都知事,参院議員,二院クラブ代表

生年月日
昭和7年 7月17日

出生地
東京市 日本橋区堀留町(東京都中央区)

学歴
早稲田大学第一商学部〔昭和30年〕卒,早稲田大学大学院商学研究科〔昭和31年〕修士課程中退

経歴
東京・日本橋の仕出し弁当屋・弁菊の二男に生まれる。早稲田大学卒業間際に結核に罹り、療養中に書き始めた漫才台本がNHKのコンクールで採用されたことから放送作家としてスタートを切る。昭和34年フジテレビのコント番組「おとなの漫画」でデビューし、ハナ肇率いるクレージーキャッツと共演。その縁で日本テレビの歌謡バラエティ「シャボン玉ホリデー」にも参加、構成作家として活躍。36年クレージーキャッツの「スーダラ節」の作詞を手がけ、流行語にもなった“わかっちゃいるけど、やめられない”という歌詞と、ボーカル植木等の“無責任”なキャラクターが、高度経済成長を背景に“昭和元禄”と呼ばれた世相とうまくマッチし、爆発的なヒットとなった。以後、同曲を作曲した萩原哲晶とのコンビで「ドント節」「ハィ、それまでヨ」などのクレージーキャッツの名曲を生み出し、38年には坂本九が歌った「明日があるさ」(中村八大作曲)も大ヒットした。「シャボン玉ホリデー」では自身もタレントとして出演、“青島だァ”のギャグで一躍人気者となり、42年には長谷川町子の漫画を原作としたテレビドラマ「意地悪ばあさん」で主人公のばあさん役を女装してコミカルに演じ、好評を博した。43年からは「お昼のワイドショー」の司会を担当、中山千夏、八代英太とのコンビで11年務め、63年からは高見知佳とのコンビで情報番組「追跡」の司会を務めた。一方、43年参議院全国区で120万票を集めて2位当選を果たし、政界入り。タレント議員のはしりで、政見放送と公報以外の選挙運動をしない方式で連続4選。市川房枝の二院クラブに属し、市川没後は代表に就任。権威や多数派に媚びないスタイルが国民の期待を集め、46年参院予算委員会の代表質問で佐藤栄作首相を“財界の男めかけ”と呼んで懲罰動議をだされ、田中角栄首相に対しては“総裁の座を金で買った”と発言。平成4年には5億円献金受領問題の渦中にあった金丸信自民党副総裁の議員辞職を求めてハンストを行い話題を呼んだ。平成元年4月消費税法案の強行採決に抗議して辞任し、同年の参院選では落選。4年復帰し、通算5期務めた。7年辞職して東京都知事選に立候補。鈴木俊一前都知事が進めていた世界都市博覧会の中止を公約とし、政党の応援を一切受けず、政見放送以外は選挙運動も全くしないという独自のスタイルで選挙戦を進め、保革相乗りの石原信雄元官房副長官を破って当選。同時に参院議員同期で大阪府知事選に出馬していたタレントの横山ノックも当選し、東西の庶民派知事当選として大きな話題になった。当選後は世界都市博覧会の中止を決断した他は大きな業績を残せず、11年歴代初の1期のみで退任した。同年二院クラブより参院選比例区に、16年参院選東京選挙区に立候補。同年政界引退を表明した。この間、昭和41年映画「鐘」を企画・製作・脚本・監督・主演・作詞・作曲の1人7役で自主製作、カンヌ国際映画祭批評家週間に入選。56年には母親をモデルにした小説「人間万事塞翁が丙午」で直木賞を受賞、平成10年絵画「循環」で二科展入選と、放送作家、タレント、政治家に映画、小説、絵画と縦横無尽に才能を発揮したマルチ人間で、長女の青島美幸、長男の青島利幸も放送作家となった。テレビ草創期に活躍した永六輔、前田武彦、大橋巨泉らと、それまで裏方だった放送作家を大きくクローズアップさせ、その活躍の場を広げた。俳優としては映画「釣りバカ日誌12 史上最大の有給休暇」「死に花」などに出演した。他の著書に「蒼天に翔ける」「極楽トンボ」「青島の意地悪議員日記」「繁昌にほんばし弁菊」など。

所属団体
日本映画監督協会,日本作詩家協会

受賞
直木賞(第35回)〔昭和56年〕「人間万事塞翁が丙午」 カンヌ国際映画祭批評家週間入選「鐘」

没年月日
平成18年 12月20日 (2006年)

家族
長女=青島 美幸(放送作家),長男=青島 利幸(放送作家)

伝記
総理大臣とケンカした男―青島幸男の政治信条 議事録ダイジェスト版テレビの黄金時代対談集 岡本太郎発言!生きてごらんなさい〈9〉青島都知事殿 差出人工藤直太郎東京都の肖像―歴代知事は何を残したか都知事とは何か―青島・鈴木・美濃部に見る都知事の器量どうする!青島知事―青島都政1年の評価と今後への期待無党派知事の光と影―激動の青島都政追跡青島幸男とたった七人の挑戦オレが都知事だぁ〜!―青島幸男にみる男の成功の研究拝啓 青島幸男東京都知事殿布団のなかの青島幸男―新都政の行方を占うスーダラ調千夜一夜物語 青島 美幸 著小林 信彦 著岡本 敏子,川崎市岡本太郎美術館 共編竹内 勉 著塚田 博康 著内藤 国夫 著山崎 泰 著青島 幸男 著緒方 邦彦 著国民自衛研究会 著(発行元 パロディ社文芸春秋二玄社本阿弥書店都政新報社草思社ぱる出版東京新聞出版局徳間書店本の森出版センター,コアラブックス〔発売〕サンドケー出版局データハウス ’07’05’04’02’02’99’96’96’95’95’95’95発行)

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百科事典マイペディア 「青島幸男」の意味・わかりやすい解説

青島幸男【あおしまゆきお】

政治家,作家。東京都生れ。早大大学院中退。学生時代から放送作家として活躍し,以後ワイドショーの司会,テレビドラマ《意地悪ばあさん》の主役,歌謡曲の作詞などで人気を博す。1968年参議院全国区で当選し,市川房枝の後継者として二院クラブを再結成。政治資金浄化・庶民派を掲げ,通算5期参議院議員。1995年東京都知事選に立候補,〈世界都市博覧会〉の中止などを公約として,政党の応援をいっさい受けず,保守・革新相乗りの有力相手候補を破り当選,無党派層の勝利とされた。1999年の選挙には立候補せず,1期で退任。2001年に二院クラブ代表に復帰し,同年と2004年の参院選に出馬するがいずれも落選。1981年《人間万事塞翁が丙午》で直木賞を受賞。
→関連項目クレージー・キャッツ鈴木俊一

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「青島幸男」の意味・わかりやすい解説

青島幸男
あおしまゆきお
(1932―2006)

放送作家、タレント、小説家、政治家。東京都生まれ。早稲田(わせだ)大学商学部卒。同大学院中退。在学中に漫才台本を執筆、テレビにも自ら出演し、「青島だ、文句あっか」など強烈な個性で一世を風靡(ふうび)した。代表作にはテレビドラマ『意地悪ばあさん』など。作詞家としてはハナ肇(はじめ)とクレージーキャッツに『スーダラ節』や『ハイそれまでョ』などの時代の空気を敏感に描き出した作品を生み出した。1981年(昭和56)には小説『人間万事塞翁(さいおう)が丙午(ひのえうま)』で直木賞受賞。

 1968年参議院全国区に出馬し2位で当選。無所属議員の院内会派である第二院クラブに加わり、政界浄化を訴える。1974年の参議院全国区では選挙運動期間中外遊して金のかからない選挙を実践、3位で当選した。1989年(平成1)自民党の予算案強行採決に抗議して議員辞職。1995年無党派旋風を巻き起こして東京都知事に当選し、1999年4月まで務めた。

[伊藤 悟]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「青島幸男」の意味・わかりやすい解説

青島幸男
あおしまゆきお

[生]1932.7.17. 東京
[没]2006.12.20. 東京,江東
政治家,作家,俳優。日本橋の仕出し料理の老舗「弁菊」の二男に生まれる。 1955年早稲田大学商学部卒業。早稲田大学大学院在学中より放送台本を執筆し,1959年フジテレビ『おとなの漫画』の台本でデビュー,植木等の『スーダラ節』や坂本九の『明日があるさ』などの作詞も手がける。 1966年みずから制作・脚本・監督・主演した『鐘』で,カンヌ国際映画祭批評家週間入選。おもにテレビを中心に『泣いてたまるか』『意地悪ばあさん』 (主演も兼ねる) などの脚本で,茶の間の人気者となる。 1968年参議院選挙の全国区に初当選,以来政見放送と公報以外の選挙運動をせず連続4選。この間,市川房枝の後継として第二院クラブ代表となる。 1989年消費税法案の強行採決に抗議して辞任,同年の参議院選挙では落選,1993年に再び参議院議員として復活した。 1995年東京都知事選挙に立候補,与野党相乗り候補を相手にほとんど選挙運動らしいことを行なわず,無党派層の支持を集めて当選。しかし官僚組織を前に独自色を出せず,2期目の立候補を断念した。 1981年『人間万事塞翁が丙午』で直木賞を受賞。

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デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「青島幸男」の解説

青島幸男 あおしま-ゆきお

1932-2006 昭和後期-平成時代の放送作家,政治家。
昭和7年7月17日生まれ。テレビ放送の草創期に放送作家,俳優などとして活躍。昭和43年参議院全国区で2位当選(当選4回)。二院クラブに属し,庶民の視点から金権政治を批判。56年「人間万事塞翁(さいおう)が丙午(ひのえうま)」で直木賞。平成7年東京都知事となる。11年退任し,以後タレント活動を再開。平成18年12月20日死去。74歳。東京出身。早大卒。

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367日誕生日大事典 「青島幸男」の解説

青島 幸男 (あおしま ゆきお)

生年月日:1932年7月17日
昭和時代;平成時代のタレント;作家
2006年没

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